■月影/片山昭仁(北海道河東郡士幌町)
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●今後も「星」と「北海道十勝の風景」をテーマに従来の星景写真の殻を破り自由な枠のなかで作品を創っていきたいと思います。
SMCタクマー67・35mmF4.5対角魚眼レンズ開放 ペンタックス67 固定撮影 2002年2月1日22時50分から3分露光 フジクロームプロビア400F エプソンPM3500Cにてプリント 北海道河東郡音更町にて
★ややハイキーな調子に仕上げたため星空に対しては露光過多となり星々の輝きは寂しくなってしまいましたが、月光に照らされきらきらと輝く雪面と手を広げたかのように伸びる影のコントラストがとても印象的で、奥行きの感じられる作品に仕上がっています。毎月のように北海道の素晴らしい風景を切り取って応募くださる片山さんですが、今回も「片山調」あふれる美しい星景写真に仕上がっています。
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■三日月と新宿高層ビル群/北村壽規(東京都立川市)
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Aiニッコール50mmF1.4標準レンズをF4に絞る ニコンF4 固定撮影 コダックエクタクロームE100S 2002年2月14日18時02分29秒からオート露光 文京区シビックセンターにて
★時間がとまったかのようなゆくっりとした速度で進化してゆく宇宙。人類の営みを象徴するかのような都市。いわば対極にあたる存在を1枚の作品にフレーミングしています。あわただしく移動する中ふと足をとめて見上げた星空に感動する。そんなシチュエーションがぴったりですね。新宿高層ビル群の光の渦の中、目を凝らして作品を見つめてみると、星ナビ編集部のあるアストロアーツのスタッフが今日も不眠不休で活動している姿が見えてきそうです。
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■M82/伊藤明彦(大分県日田市)
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●スターバースト銀河と呼ばれるM82です。中心部の活動領域がとても印象的でした。
タカハシBRC250(口径250mm焦点距離1268mm反射望遠鏡)にて直焦点撮影 ビットランBJ31L タカハシNJP+オートガイダーST5Cにて恒星時追尾 2002年2月12日21時33分から総露光時間155分(L10分×12、RGB各5分×2〜3
2×2ビニング) トーカイタイプΓ元感\xBB3色分解用フィルター+トーカイLPSP1赤外カットフィルター キヤノンBJF850にてプリント 大分県日田郡天瀬町馬原にて
★先月号で65cm望遠鏡による百海さんのM82を紹介しましたが、それにもまさる解像を示していて驚きです。シンチレーションなどの条件はもちろん、SN比を向上させるため12枚ものL画像の撮像、適切な画像処理の模索など、苦労の甲斐がありましたね。画像復元処理の弊害か輝星に黒いリングが出来てしまったのは残念です。
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■海に映るオーロラ/河野高幸(神奈川県横須賀市)
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●北欧へオーロラを見に行ってきました。1月13日から21日までレンタカーを借りて、フィンランドとノルウェーを回ったのですが、オーロラの活動は割に低調だったそうで(おやおや)、どっちにしろ天気がたいへん悪くて何も見えなかったので(おいおい)、とても報告できることはないなと思っていましたが、1月19日には天候もよくなり、しかも突発的にオーロラの活動がたいへん活発になり、どうにかオーロラの撮影に成功しました。この日オーロラが突然活発になったのは太陽のコロナホールから吹き出した太陽風によるものだとSpaceWeather.comに書いてありました。ここ最近は黒点が多かったのでオーロラのピークだと言われていましたが、実は極地方でオーロラがもっとも頻繁に現れるのは、それから数年後のこのコロナホールがピークになるときなんだそうですね。楽しみです。
地図がないとわかりにくいですが、現地で訪れた場所を地名だけさっと書いておきます。フィンランド北部のキッティラでレンタカーを借りて、スキー場もあるレヴイ、そこから北上してノルウェーに入り、カウトケイノ、アルタからスカンジナビア半島の北岸から西北岸をまわって、リンゲンフィヨルドからキルピスヤルピ経由キッティラまで戻るコースを7〜8日かけてまわりました。レンタカーで計1862km走行。料金は小型車のオペル・アストラで、8日間約5万2千円でした。
去年、おととしあたりは11年に一度の太陽活動のピークでオーロラの見頃と騒がれていました。しかし、これは複雑な太陽活動とオーロラの活動の一面だけをとらえた意見で、実際にオーロラの見頃がいつになるのかは、もっと複雑な事情が絡んできます。実際のところオーロラの発生メカニズムについては、まだまだわからないことが多いようです。ですから、話半分ぐらいで聞いていただきたいのですが、結論を先に書きますと、極地方で最もオーロラが頻繁に発生するのは2004年か2005年あたりになるはずです(太陽でコロナホールがよく出現するため)。去年、おととしは頻度が低いがときどき大規模な磁気嵐が起こって、普段はオーロラが見えない北海道などでまでオーロラが観測されることがある時期でした(太陽の黒点の数とつながりがある)。一方、2004年,2005年には北海道でオーロラが観測されたりはしませんが、コロナホール由来の高速太陽風のため極地方では頻繁にオーロラが発生するようになります。日本からそちらに遠征する人のためにはむしろ好都合となるはずです。ちなみに、これから黒点数やX線の活動が二次ピークを迎えつつあるという観測もあり、この2月,3月も激しい磁気嵐によるダイナミックなオーロラ活動が期待されます。今後4〜5年はおおむねオーロラの見頃と考えてもいいでしょう。
AFニッコール28mmF1.4D広角レンズ開放 ニコンF90XS 固定撮影 フジクロームプロビア400Fを+1増感現像 2002年1月19日 30秒露光 ノルウェーにて
★磁極を取り巻くように存在するオーロラ帯のなかでも、オーロラが最もよく見られる地域にあたる地磁気緯度65〜70°付近にあるノルウェーからのオーロラです。海面に映りこむほど明るいオーロラはさぞ壮観だったことでしょう。土星、すばる、ハマルなど星々も賑やかに表現されオーロラを引き立てていてほんとうに美しい作品です。惜しむらくは水平線が若干傾いてしまったこと、画面に占める海面の割合がすこし多すぎたことで、構図が不安定になってしまったことです。
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■びっくり!人面クレーター!?/大工原和弘(神奈川県横浜市)
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●これは知られていることなのでしょうか!?望遠鏡で月を見ていると、何やら人の顔のようなクレーターが!!いや、人の顔というより「太陽の塔」の顔?いやあれも一応人の顔か…。とにかくびっくりしました!後で調べてみると「マウロリクス」というれっきとした名前がついている、直径114kmのクレーターでした。どうやら月齢20あたりのときに見ると、光の加減でこう見えるようです。「火星のにっこりクレーター」よりも身近に感じられる(?)顔でした。
共通データ:インテスMN61(口径150mm焦点距離900mm反射望遠鏡)によるコリメート撮影 ニコンクールピクス990 ケンコーNES赤道儀による恒星時追尾 エプソンPM890Cにてプリント 自宅ベランダにて 全体:ビクセンLV25 2002年1月5日01時20分46秒から1/60秒露光 拡大:ビクセンLV7 同02時21分06秒から1/15秒露光
★火星の人面岩やスマイルマーク、ハート型クレーターなどが話題になったことは記憶に新しいところですが、大工原さんが紹介してくれたこのクレーターもなるほど1970年に開催された大阪万博会場にある岡本太郎作の「太陽の搭」にそっくりで驚かされます。こういった地形は光と影のぐあいにより、すなわち月齢によりまったく別の地形に見えるものです。他にもいろいろな面白い地形を探してみてください。なおクレーターのアップは顔がよくわかるように欠け際を上にして掲載しました。
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■さそり座に添う/夏坂栄一(青森県北津軽郡)
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●私は日本野鳥の会の会員で、鳥の写真も多数撮っています。星空を背景に鳥を撮れないものかと思っていますが,私の技術ではとても無理。それを実現(?)してくれたのが、昨年の星ナビ10月号に紹介されたニコンクールスキャンIV EDです。ソフトはフォトショップ5.5を使いました。私の夢が写真になったみたいです。左下の山は岩木山です。
ニッコール35mmF2広角レンズをF2.8に絞る ニコンF4 ビクセンGP赤道儀にて恒星時追尾 コダックエクタクロームP1600 2000年7月30日20時50分から4分露光 エプソンPM3500Cにてプリント 青森県西津軽郡鯵ヶ沢町長平にて
★うみねこでしょうか。銀河をバックに羽をひろげ悠々と飛ぶ姿は美しく、意欲的な作品です。昼間撮影した鳥の写真との合成はうまくいきましたが、背景の星空の写真はややざらついてしまいました。露光時間を切り詰めて岩木山などの前景をぶらさないための高感度フィルム選択だと思いますが、すこし荒れすぎてしまったようです。フィルム選択や画像処理を工夫してみてください。
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