天文現象の観測というと「望遠鏡が必要なのでは……」と思いがちだが、結論から言うと、流星を見るためには肉眼がもっとも適している。
望遠鏡はまったく必要ない。望遠鏡は、天体像を拡大して見るものであって、流星のように、広い範囲の現象を見るには適していないからだ。
強いて言えば、視野の広い双眼鏡を用意しておくと、なにかと便利に使える。
○もし双眼鏡があったら、放射点や流星痕を見てみよう
放射点近くでは、経路の短い流星が見られるので、6度から7度の視野を持つ双眼鏡の視野の範囲内でも、多くの流星を見ることができる。肉眼で4等ほどしか見えていない都市近郊の空でも、7×50や10×40といった双眼鏡なら、7等星あたりまで見え、それだけ暗い流星を見ることができるからだ。
もうひとつの使いみちは、流星痕(りゅせいこん)の観測だ。しし座流星群に属する流星は明るいものが比較的多く、その中には、流星が飛んだ跡に、細長くボヤッと光る痕が見られることがある。この痕を双眼鏡で見ると、上空の大気の流れによって、形が徐々に変化していくようすを見ることができる。
『流星痕』:流星の流れた後に、ボンヤリ光る「流星痕」が見られることがある。明るい流星では、数分間も消えない「永続痕」となり、上空の風で拡散していき形が変化していく。