月から持ち帰られた石は地球最古の岩石かもしれない
【2019年1月31日 NASA】
スウェーデン自然史博物館のJeremy Bellucciさんたちの研究チームが、48年前のアポロ14号の月探査で地球に持ち帰られた岩石の分析から、この岩石がもともとは地球で作られたものである可能性を発表した。
Bellucciさんたちの調査で、質量2gの岩石の破片中に石英や長石、ジルコニウムといった物質が見いだされた。これらはいずれも地球ではよく見つかるが、月面で見つかることは非常に珍しいものだ。化学分析から、この破片は地球のような酸素のある系で結晶化したものであることが示された。月の奥深くのマントルで形成された可能性もあるものの、地球で作られたと考えるほうがシンプルだという。
研究チームが考えるシナリオは次のようなものだ。まず、40億年から41億年前に、岩石が地球の表面から約20kmの深さのところで結晶化した。その後、小惑星や彗星のような天体の衝突によって地表が掘り起こされ、岩石が地球から飛び出し、月へと到達する。当時の月は現在よりも地球に近いところにあり、その距離は現在(約38万km)の3分の1しかなかった。
月に達した地球由来の岩石は、月への天体衝突によって部分的に融け、月の地下へと埋められてしまった。そして、長い年月を経た後、今から約2600万年前にこの岩石が埋まっているあたりに小惑星が衝突し、直径340mのコーンクレータを形成した。48年前の1月31日に月面に着陸したアポロ14号の探査で「月の石」のサンプルを採取したのが、まさにこのクレーターだったわけである。
「冥王代」と呼ばれる、今から40億~46億年前(地球誕生から5~6億年間)の地球でこの岩石が誕生したという考えは理にかなってはいるものの、議論の余地も大きい。もし正しいならば月には同様の岩石がもっと見つかるはずであり、今後の探査や研究に期待がかかる。
〈参照〉
- NASA:Earth's Oldest Rock Found on the Moon
- Earth & Planetary Science Letters:Terrestrial-like zircon in a clast from an Apollo 14 breccia 論文
〈関連リンク〉
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