小惑星探査機「オシリス・レックス」を観測しよう

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小惑星探査機「オシリス・レックス」は、9月23日の地球スイングバイに向けての軌道修正を8月23日に行いました。天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ10」用に、この最新の軌道に更新する10.0iアップデータを公開しています。地上からも見えると期待されている「オシリス・レックス」の観測にご活用ください。

【2017年9月7日 アストロアーツ

NASAは小惑星探査機「オシリス・レックス」(オサイレス・レックス)の地球によるスイングバイを行うため、8月23日に軌道修正を実施しました。現在の予定では9月23日(日本時間、以下同)に地球に最接近し、その引力で加速しながら大きく軌道を変え、小惑星「ベンヌ」(Bennu、ベヌー)に向かいます。オシリス・レックスはベンヌに到着後、日本の小惑星探査機「はやぶさ」や「はやぶさ2」のように小惑星のサンプルを捕獲し、2023年に地球に帰還する予定になっています。

「オシリス・レックス」の想像図 小惑星探査機「オシリス・レックス」が地球スイングバイを行う様子のイメージイラスト(提供:NASA’s Goddard Space Flight Center/University of Arizona)。クリックで画像拡大

オシリス・レックスはスイングバイ当日の2017年9月23日午前1時52分に地球から1万7000kmの距離まで接近し、天球を北天から南天へと駆け抜けます。日本では、9月22日の日没後から、地球に最接近する直前にあたる23日午前0時過ぎまで観測できるだろうと期待されています。倉敷科学センターの三島和久さんによると、オシリス・レックスの明るさは予想が非常に難しいとしながらも、目安として「14〜15等級」とされています。

このスイングバイに向けて、JAXA「はやぶさ2」プロジェクトと「オシリス・レックス」チームは連携して、スイングバイ観測キャンペーンを行います。観測情報や報告については日本惑星協会と日本公開天文台が協力でウェブページを公開しているので、詳しくは下記の関連リンクをご参照ください。

天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ10」では、6日に公開した10.0iアップデータを適用することで、オシリス・レックスの正確な位置を表示することができます。なお、地球スイングバイ時のオシリス・レックスは地球のごく近傍を通過するため、実際に観測する場合にはステラナビゲータ10の観測地設定を確認のうえご利用ください。

地平座標での星図
東京から見たオシリス・レックスの動き(地平座標)。9月22日21時から24時(23日0時)までの位置をプロット。南南東の空、高度20~30度付近に見える。ステラナビゲータで星図作成

赤道座標での星図
東京から見たオシリス・レックスの動き(赤道座標)。9月22日21時から24時(23日0時)までの位置をプロット。くじら座の2等星ディフダ(デネブカイトス)付近からちょうこくしつ座へと南下していく。ステラナビゲータで星図作成

NASAでは8月23日の軌道修正の結果を確認中であり、その状態によっては再び軌道を修正する可能性もあります。この場合でも、今回のステラナビゲータ10のアップデータで表示できる位置から大きくずれることはないと思われますが、今後の情報にもご注意ください。

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