■NGC3372/林 啓生(中華民國台灣省台中市)
- ●NGC3372は視直径も大きくとても明るい星雲です。しかしその位置は赤緯約-60°で南中時でも台湾では地平高度が数度にしかなりません。観測できる時間も非常に短く難しい対象のひとつです。阿里山−玉山国立公園一帯は標高も高く、暗くすばらしい星空の元へ到達できます。写真1は阿里山南方にある標高2500mの山頂で撮影したものです。写真2はもうひとつの天体写真の聖地である合歡山鳶峰(標高2750m)で撮影したもので、南方の視界もよくすばらしい撮影地です。写真には驚いたことに赤緯約-64.5°のIC2602(南の七姉妹星団)を稜線付近に認めることができます。またNGC3372の東南にある散光星雲NGC3586も見えています。冬から春にかけて一時的にしか出会うことができないNGC3372にはとても興奮を覚えます。
SMCペンタックス67・105mmF2.8標準レンズ開放 ペンタックス67 タカハシEM200赤道儀にて恒星時追尾 コダックエクタクロームE200 2000年12月27日04時46分から15分露光 合歡山鳶峰にて
★2枚組みで応募くださいましたが、作者のコメントにある写真2のみを掲載しました。NGC3372は南十字星の西側、りゅうこつ座にある散光星雲で、エータカリーナ星雲の通称で親しまれています。肉眼でも確認できるほど明るく、またオリオン大星雲4個分という大きさや、キーホールと呼ばれる暗黒帯が複雑に入り乱れる美しい様相など、大小マゼラン雲、南十字星とともに北半球の天文ファンにとっては憧れの的の天体です。林さんは台湾からこのエータカリーナ星雲だけではなく、南のプレアデス星団とも呼ばれるIC2602を捉えることにも成功しています。稜線ぎりぎりまで星々が写りこんでいて、撮影地のすばらしい星空が目に浮かぶようです。稜線近くの星がいびつに伸びているのは大気差の影響です。
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■昇るさそり座と精進湖/松本 修(埼玉県朝霞市)
- SMCペンタックス67・75mmF4.5標準レンズ開放 ペンタックス67? 固定撮影 コダックエクタクローム400X 2001年2月17日04時35分から10分露光 精進湖にて
★下弦過ぎの月によって照らしだされた輝く凍結した湖面と抜けるような青く透明な夜空の発色が神々しいまでの美しさを感じさせる作品です。ベテランならではの完成された構図も美しいですね。
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■火星とさそり座β星のランデブー/川口 勉(兵庫県西宮市)
- ●肉眼で見ても、色の対比が美しい接近でした。スケールを表すため、6日前に同じ直焦点で写した下弦の月を合成してみました。
ビクセンVC200L(口径200mm焦点距離1800mm反射望遠鏡)による直焦点撮影 キヤノンEOS55 ビクセンSP赤道儀にて恒星時追尾 フジクロームプロビア100F 2001年2月21日05時38分から5秒露光 自宅にて
★さそり座の頭部にあたる2.5等級のβ星と火星が接近したようすです。この作品が撮影された時刻での離隔は6’ほどですが、同日9時半頃の最接近では3’まで接近しました。月の平均視直径は30’ほどですから、両星がいかに接近したかよくわかります。主星、伴星ともに青く輝く2重星のβ星と火星の色の対比も美しいですね。
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■光のカーテン/高橋 剛(神奈川県海老名市)
- シグマ14mmF3.5魚眼レンズ開放 ニコンEM 固定撮影 フジカラースペリア800 2001年2月20日02時頃から15秒露光 アラスカ・フェアバンクスにて
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■Northern light/山地泰比古(東京都世田谷区)
- ●オーロラの想像以上の明るさと風になびくカーテンのような速い動きに驚きました。しかも対角魚眼レンズでも画角がせまいと感じるくらいに圧倒的です。
SMCペンタックスA16mmF2.8魚眼レンズ開放 ペンタックスK2 固定撮影 フジカラースペリア800 2001年2月19日00時35分から15秒露光 アラスカ・フェアバンクスにて日22時25分から30秒露光 カナダ・イエロー・ナイフにて
★先月号に引き続き、対角魚眼レンズによるみごとなカーテン状オーロラ2点です。高橋さんの作品はカシオペヤ座からおうし座、ぎょしゃ座にかけての星座たちと木星・土星がうまくフレーミングされていて現地での星空の雰囲気がよくわかり、また星座との対比でオーロラのスケール感もよく表現できています。山地さんの作品は渦状に広がるオーロラがダイナミックで、酸素分子が発する黄緑色が強く出ています。地平線に対して立ち上がったようなうしかい座とかんむり座が高緯度地域での星空を思わせオーロラとあいまって異国情緒あふれる作品に仕上がっています。
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