【1997年3月27日 NASA プレスリリース 97-55】
NASAは、HST(ハッブル宇宙望遠鏡)とIUE(国際紫外線衛星)によるヘール-ボップ
彗星の観測結果を発表した。
ヘール-ボップ彗星は木星よりも遠いところにいる頃から十分に明るかった ため、1年以上に渡って、彗星核がどのように変化するかを観測することが できた。これは、1986年に探査機がハレー彗星の核に接近して以来の大きな 成果をもたらした。今回の一連の観測から、彗星核は種類の異なる氷の塊が組 み合わさってできていることが分かった。また、核が短時間の強いバースト現象 を起こした様子も捉えられた。さらに、ヘール-ボップ彗星の核の大きさは30〜 40kmとかなり大きいことも分かった。
従来の彗星核のモデルでは、炭素等の成分は水の氷と混ざり合い、太陽の熱で 蒸発し同時に放出されていると考えられてきた。しかし、HST等によるヘール- ボップ彗星の観測では、核表面からの水の氷の蒸発率と、その他のダスト成分 の蒸発率とが異なっていることがわかった。この観測結果は、従来の彗星核の 「汚れた雪玉」モデルに波紋を投げかけるものだ。
ヘール-ボップ彗星の核の表面は、信じられないほどに活発に活動していた。 HSTの観測中に、突然短時間のバースト現象を起こし、1時間程度の間に、 核からのダストの放出量が8倍以上になったこともある。
HSTの画像から、ヘール-ボップ彗星の核の直径は30〜40kmほどと大変大きく見積も られている。たいていの彗星の核は数km程度かそれ以下である。また、6500万年 前に地球に衝突し、恐竜を絶滅させたと言われる天体は、10km強程度の大きさ であったと考えられている。
HSTによるヘール-ボップ彗星の観測成果は、
これらの成果は、3月28日発行のサイエンス誌にも掲載される。