【1997年 6月10日 NASA press-release 97-129】
NASAは10日、超新星爆発の残骸どうしが相互に衝突している姿を、 ハッブル宇宙望遠鏡でとらえることに成功したと発表した。 これは地球から約1700万光年離れた、NGC6946内で起きている現象である。
実は今回の現象については、最初にアリゾナにあるキットピーク天文台と
ROSAT(X線衛星)によって発見されていた。
そのときは、可視光およびX線での観測から、
今回の現象が非常に明るいものであったため、
発見当初は比較的若い超新星爆発であろう、といわれていた。
しかし、その後の詳しい解析から、若い超新星爆発にみられる
構成物質が存在しないこと、また、
広がるスピードがあまりにも遅いことが判明したのだ。
これらの分析結果は、この超新星爆発が古いことを示しているのである。
観測結果を解析すると、古い超新星爆発であるとの結論が得られるのに、
なぜ、これほどまでに明るく、若い超新星爆発のように見えるのか。
この相反する事実を目の前に、
科学者は当惑し、悩んでいたのである。
こうした科学者達の疑問に決着をつけたのが、
ハッブル宇宙望遠鏡であった。
非常に高い解像度を誇る、第2世代広視野カメラによってとらえられた画像には、
少なくとも2つの超新星爆発を起こしている星が、
互いに衝突している姿がはっきりと映し出されていたのだ。
超新星爆発によって吹き飛ばされた物質が、
別の超新星爆発によって吹き飛ばされた物質と干渉し、
非常に強く光を放っている。
この様子は「まるで、電車の衝突のようだ」と、主研究員の一人である
ジョン・ホプキンス大学、ウィリアム・ブレアー教授は語っている。
この一連の発見について詳しくは、以下のジョン・ホプキンス大学WEBページにて公開されている。
http://www.jhu.edu/news_info/news/home97/jun97/ngc.html