【1997年9月18日 STScI-PRC97-29】
ハッブル宇宙望遠鏡(HST)がらしんばん座にある回帰新星の鮮明な映像をとらえた。 これまでは新星をとりまくガスをぼんやりとした連続体としてしかとらえられなかっ たが(左)、今回HSTによって撮影したもの(右)からは、2000個ほどのガスの固ま りが1光年の範囲で広がっているのがよく分かる。まるでショットガンで撃たれた 跡のようにみえるが、これらは新星の爆発で撒き散らされたもので、速度の違うガ ス同士が衝突していることも判明した。この回帰新星らしんばん座Tは6000光年の 彼方にある。 なお、HSTの画像は構造を鮮明にするために擬似カラーで強調してある。
※回帰新星(反復新星)
暗い恒星が、数日といった短期間のうちに急激に増光(15等〜20等級分も)して、 肉眼で見えるような明るい星になるものを「新星」と呼ぶ。あたかも新しい星が 出現したかのようすから、この名がある。極大の明るさに達するまでは短いが、 減光は徐々におこなわれ、数年から数十年かかって元の明るさに戻る。規模は小さい が何度も増減光を繰り返すものを、とくに回帰新星という。らしんばん座Tは約19年 の周期で増光をくりかえしている。 新星現象は、激変星の一タイプで、降着円盤を通して白色矮星の表面に降り積もった 水素ガスが溜り、ある限度に達して、一挙に激しい核融合反応を起こして爆発するも のと考えられる。 恒星の一生の終りに爆発する現象は「超新星」爆発といい、「新星」とは区別される。