【1997年10月22日 NASA/STScI】
ハッブル宇宙望遠鏡がアンテナ銀河内で爆発的に星が誕生している状況を 鮮明に捉えた。
アンテナ銀河は2つの銀河が衝突したもので、互いの重力の相互作用により 吹き飛ばされた星々がアンテナのような形に広がっている事から こう呼ばれている。 この銀河同士の衝突により銀河内の分子雲が圧縮され、一度にたくさんの星が 生成されている。この若い星々の光に星間ガスが照らされて輝いている。
銀河同士の衝突は、銀河団中心の密集域などでは比較的頻繁に起こっていると 考えられる。さらに銀河を構成する星や星間物質などの銀河成分の 重力的結びつきは恒星系とくらべると弱いので、衝突に伴う重力作用で 大きく変形しやすい。ただ、衝突の時間スケールは億年オーダーに渡り、 観測は無理なので、コンピュータシミュレーションによるモデル研究などが 盛んである。銀河の進化過程は解明されていない点が多いが、 比較的大きな楕円銀河は渦巻き銀河同士が衝突してできたものと考えられている。 このためアンテナ銀河は銀河の進化を知る上で重要な天体として観測されている。 今回の星形成の観測から星々の年齢が判明し、銀河衝突の年齢を推定することが できるので、銀河衝突による変化をさらにくわしく研究することが可能となる。
詳しくは、STScIのページで解説されている。
http://oposite.stsci.edu/pubinfo/PR/97/34.html