7月4日に火星に着陸したパスファインダーは3ヵ月もの間動き続け、赤い惑星に関する 膨大な情報を送り返してきた。そして今、やっと休息の時を迎えている。これは9月の末 から通信が途絶えたままになっているためだ。今後通信が回復する見込みはごくわずかだ が、通信回復の努力は続けられる予定だという。通信が途絶えた原因ははっきりしないが 、着陸地点の気温が下がりバッテリーが機能しなくなったためと考えられている。これは 当初から予想されていた事である。通信に問題が無ければ、ローバーは着陸船の周囲50m の”長旅”に出発する予定だった。
パスファインダーは当初30日の寿命として設計されていたが、実際はその3倍の3ヵ月の 間活動を続けることができた。ソジャーナにいたっては7日の活動予定が約3ヵ月と12倍 の期間を働き続けた。今回のマーズ・パスファインダー計画はNASAの新世代プロジェクト 構想の最初のもので低コストが重要な要素になっている。従来の膨大な予算を使ったプロ ジェクトにも優る成果を残し、今後の計画にはずみがつくことだろう。
パスファインダーが地球に送り返してきたデータは26億ビットで、着陸船からの16000枚 以上の画像、ローバーからの550の画像、そして15の岩石の化学分析結果が含まれる。唯 一残っているのが、着陸線からの高解像度パノラマで、そのうち83%がすでに受信されて いる。
パスファインダーは完全に沈黙したわけでは無く、いつの日か再び交信ができる日がやっ てくるかもしれない。そのためパスファインダーのスタッフも「一緒に努力してきたソジ ャーナにさよならとはいいたくない。"じゃあ、またな"と言いたい。」と語っている。