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ケンタウルス座Aに巨大ブラックホール


STScI-PR98-14

ケンタウルス座Aはその特徴的な形で有名な銀河だが、その中心部に大質量ブラックホールが存在することがハッブル宇宙望遠鏡の観測で明らかになった。

地球から1000万光年の距離にあるケンタウルス座Aは強力な電波源としても知られていて、小型の渦巻き銀河が大型の楕円銀河と衝突したものと考えられている。その衝突により銀河内の星間ガスが圧縮され多量の恒星が誕生するスターバースト現象が起きている。このような銀河は活動銀河と呼ばれ、宇宙の初期には多数存在していたと考えられている。活動銀河は数億から数十億光年彼方のものがほとんどで、1000万光年の距離にあるケンタウルス座Aは、活動銀河の詳細を研究するうえで唯一といってよいほどの貴重な活動銀河だ。

今回の発見は、ハッブル宇宙望遠鏡の近赤外カメラによるもので、多量の星間ガスを通してケンタウルス座Aの中心に銀河面に対してほぼ垂直に傾いた直径130光年のガス円盤の存在を捉えた。このガス円盤の中央に太陽の10億倍の質量の巨大ブラックホールがあると考えられている。このブラックホールは衝突前のいずれかの銀河にあったものか、または2つの銀河にあったものかは判明していない。ただし、ガス円盤に対してブラックホールの回転軸が大きく傾いている事から、衝突の際の衝撃がいかに大きかったかを物語っているようだ。

天文学者達はさらにブラックホール近辺のガスの速度を測定し、このブラックホールの正確な質量を求めようとしている。

ケンタウルス座Aとその中心部
ケンタウルス座Aとその中心部。暗黒帯の縁の青白い点は生まれたての青白い恒星からなる星団。

近赤外カメラで捉えたケンタウルス座A中心
右が、近赤外カメラで捉えたケンタウルス座A中心のガス円盤

ブラックホールの模式図
ケンタウルス座Aの巨大ブラックホールの模式図。巨大なガス円盤の中央のブラックホールから強力なX線が放射されている。

ジェット流と可視光の合成
電波望遠鏡で観測したジェット流と可視光を合成したもの。



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