アメリカで5月8日公開となった「ディープ・インパクト」が早々と来月の6月20日より全国ロードショー公開される。「ディープ・インパクト」はスティーブン・スピルバーグ製作総指揮のドリーム・ワークス作品。監督は「ピース・メーカー」で小気味良いアクションを見せてくれたミミ・レダー。さらにCGは「ジュラシック・パーク」のILMとヒットしないわけにはいかない布陣だ。
この映画の主役は、地球への衝突軌道を突き進む巨大彗星。それを阻止せんと宇宙船を送り出すアメリカとロシア。果たして彗星の地球衝突は避けられるのか?人類の運命はいかに。公開直前に小惑星1997XF11が2028年に地球に衝突というニュースが全米を駆け抜けたためか、公開するや全米で大ヒット、2週連続で全米一位を獲得した。(3週目は「ゴッジィラ」に抜かれたけど。)
さて、一番気になる科学考証についてだが、天文ファンの目でみるとちょっと気になるところがある。たった一度の観測で彗星の軌道が決定できたり、1年近くも彗星の存在に誰も気がつかないなど、正統派SF映画だけにちょっと残念といったところがあるのだ。しかし、そこはハリウッド映画と割り切って見ていれば、空前絶後のスペクタルに没頭することうけあいだ。(左は彗星の衝突による大津波に襲われるニューヨーク)
なお、アメリカで公開間近の「アルマゲドン」も「ディープ・インパクト」に酷似したプロットの映画だ。「アルマゲドン」では小惑星が地球に衝突しようとするのだが、主役にブルース・ウィリスを迎え、宇宙アクション映画に仕上がっているようだ。「ディープ・インパクト」がダンディズムの人間ドラマを追求しているのに対して、「アルマゲドン」はヒロイズムの追求といえよう(ブルースがまたはまり役!)。アルマゲドンは日本で正月に公開の予定。
●読んでから見るか、見てから読むか
「ディープ・インパクト」は元々1951年の『地球最後の日』のリメイクとして企画が 進行していた。そこで、アーサー・C・クラークの『神の鉄槌』の映画化件を取得 していたスティーブン・スピルバーグが合流。この2つを掛け合わせたものが 「ディープ・インパクト」となった。そのため原作本は以下の2冊だ。
『地球最後の日』 フィリップ・ワイリー&エドウィン・バーマー著
創元SF文庫 620円 『神の鉄槌』 アーサー・C・クラーク著 早川書房 1700円
「神の鉄槌』は6月に文庫版が発売される予定。両者とも帯に「スピルバーグ映画化」
とはあるが「ディープ・インパクト」とは無いので注意。
●メサイア&オリオン号
彗星を破壊に向う宇宙船「メサイア&オリオン」号だが、米ロが共同で作り上げた 宇宙船だ。現存のシャトルやブランなどを寄せ集めた機体という設定なのだが、これがコアブースターみたいでカッコいい!
横から見た姿がなんとなく映画版『機動戦士ガンダム』のコアブースター。後部のロケットはエネルギアの補助ブースター。中央部のロケットは一見シャトルの固体ブースターの様だが良く見ると違う。
オンラインショップで扱っているが、同スケールのスペースシャトルとブランで、メサイア&オリオン号をスクラッチしてはいかが?
(「アルマゲドン」のシャトルやスペースステーションはレベル・モノグラム社からキット化が決定している。)
文責:西新宿国際SF映画祭実行委員会
写真提供:UIP映画