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新世代宇宙望遠鏡構想


【1998年6月9日 NASA

1990年に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡(HST)は、初期のピンぼけ騒ぎがあったものの、現代天文学に大いなる貢献をしてきた事に異を唱える者はいないだろう。 このHSTの運用計画は2010年で終了するが、早くも新世代宇宙望遠鏡の計画が検討されている。

この宇宙望遠鏡は新世代の技術を活用し、ビックバン以降の宇宙の進化−銀河および星の形成過程−を明らかにする事を目的としている。この望遠鏡は2003年に開発とりかかり、2010年の打ち上げを目指している。耐用年数は10年で、少なくとも7年以上の観測が可能な事としている。また、運用はHSTに引き続きホプキンズ大学にある宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)が行い、運用経費は1年あたり1500万から2500万ドルの予定。

新世代宇宙望遠鏡のデザイン案

現在、様々なチームが新世代宇宙望遠鏡のデザインを提案している。深宇宙探査には赤外線観測の精度をこれまで以上に精密にする必要があるので、この部分に各社の特徴がみてとれる。

The Goddard Space Flight Center-led teamゴダード飛行センター

新宇宙望遠鏡の主鏡は26フィート(約8m)。全体を軽量にまとめて太陽、地球のL2ポイントに置かれる(L2は地球軌道の外側にある太陽−地球のラグランジュポイントで重力的に安定した場所)。大きな特徴は巨大な『日傘』を備えている点だ(図の右側黄色の部分)。日傘で太陽光線を遮ることで、華氏マイナス370からマイナス298度に保ち、宇宙の果ての微かな赤外線観測の精度を向上する。傘で視界が遮られるが、常時全天の40パーセントが観測可能。

Ball designボール航空社

4枚に分かれた巨大な『日傘』が特徴。こちらは全天の50%を観測可能。L2ポイントまたはその付近の軌道に投入される。また、8mの主鏡を3点支持で固定する。このプランでもL2ポイントへの投入を考えている。

Lockheed-Martin designロッキード・マーチン社

こちらの設計は単純さが売り物で、6mの主鏡の周りを金属の境筒で覆うもの。惑星間のダストによる赤外線の散乱をさけるため、この望遠鏡は火星と小惑星帯の間を周る軌道に投入される。地球付近より赤外線の散乱が10倍から30倍も抑えられる。大きな太陽電池(青い部分)は通信や軌道修正にパワーを供給する。

TRW designTRW社

このデザインで目を引くのは、大きなマイクロウェーブアンテナと、6角形の3m鏡を7枚合わせた主鏡。アンテナは日傘の役目も兼ねており、L2ポイントに投入される。

□ニュースリリース

http://oposite.stsci.edu/pubinfo/pr/1998/20/

□新世代宇宙望遠鏡ホームページ

http://www.ngst.nasa.gov



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