【1998年7月7日】
1998年7月4日午前3時12分、文部省宇宙科学研究所の鹿児島宇宙空間観測所(KSC)からM−Vロケット3号機が打ち上げられた。搭載されたのは、日本初の火星探査機「プラネットB」で、火星磁場と太陽プラズマとの相互作用の観測や電波を使った氷の探査、衛星フォボス・ダイモスの撮影など、日本独自の観測計画が満載されている。
打ち上げの成功によって地球周回軌道に投入されたプラネットBは、「のぞみ」と命名され、その後、軌道修正によって遠地点が月軌道を越える長楕円のパーキング軌道に入った。9月24日と12月18日の2度にわたる月スイングバイを行ない、12月20日に二液式モータによって地球を脱出し、火星行きの軌道に乗せられる予定だ。
「のぞみ」には、公募で集まった27万余名の直筆の署名プレートが搭載され、話題になった。「のぞみ」の命名理由のひとつは、署名に託された宇宙探査への大きな期待を反映したもので、1999年10月11日に火星周回軌道に乗った「のぞみ」は、その後約2年間にわたって観測を続け、観測終了後も、半永久的に火星を巡り続けることになっている。
梅雨どきの打ち上げなので天候が心配されたが、打ち上げ前々日のリハーサル(テレメータテスト)の鹿児島宇宙空間観測所は、よく晴れあがっていた。
4日午前3時12分、予定通りのスケジュールで。暗闇を衝いてM−Vロケット3号機が打ち上げられた。