【訃報】南部陽一郎シカゴ大名誉教授 2008年ノーベル物理学賞受賞者
【2015年7月17日 大阪大学】
素粒子物理学者の南部陽一郎(なんぶよういちろう)米・シカゴ大名誉教授が、7月5日午後8時12分に永眠されました。享年94。
南部氏は1921年生まれで、1952年に東京大学で理学博士を取得。1960年ごろ、超伝導理論などで用いられていた「対称性の自発的な破れ」という概念を素粒子物理学に導入しました。この考えは、素粒子が質量を獲得した理由を説明するなど、現代の素粒子物理学の根幹を支えるものであり、自然界に存在する「4つの力」のうち「電磁気力」「弱い力」「強い力」を統一的に説明する「標準モデル」にもつながっているものです。
この「素粒子物理学における対称性の自発的な破れの発見」で、2008年にノーベル物理学賞を小林誠さん、益川敏英さんと同時に受賞しました(小林、益川両氏の受賞は「自然界にクォークが3世代以上あることを予言する、対称性の破れの起源の発見」によるもの)。
南部氏はクォークに3種類の「色」があるとする理論や、超ひも理論の先がけとなる研究でも知られています。
生前のご功績を偲び、心からご冥福をお祈り申し上げます。
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