○皆既月食を記録に残そう

月食をスケッチする

 皆既月食になると、月の明るさがかなり暗くなるので、月の周りの明るい星も見えるようになる。 暗黒の空に赤胴色に鈍い光を放つ月と、周囲にキラキラと輝く星々、そんな光景は肉眼で見るより双眼鏡や天体望遠鏡(フィールドスコープでも可)で見るほうが、何十倍も楽しいものだ。 特に視野5度から7度くらいの双眼鏡で見る皆既月食の素晴らしさは、筆舌に尽くしがたいものがある。双眼鏡をもっているならぜひ試してみてほしい。 今回の皆既月食では、月のすぐ南側2度ほどのところに、小惑星ベスタが見えるはず。光度約5等級で、周辺ではもっとも明るい星なので、きっと見つかる。 小惑星を楽しむチャンスなど、そうはないので、ぜひベスタにもチャレンジしてほしい。

 ところで、皆既中の月の明るさがひじょうに暗くなった場合には、月の周りだけでなく、月の西側一帯を眺めてみよう。 空のきれいなところならいて座付近の明るい夏の天の川が見えるかもしれないからだ。 満月と天の川を同時に見る、ふだんなら絶対に見ることのできないこんな組み合わせが楽しめるのも皆既月食ならではのことだ。

 さて、めずらしい天文現象となれば、じっくり眺めて記憶に留めておくことはもちろん、記録にも残しておきたいものである。

 もっとも手軽な記録方法としてスケッチがある。 スケッチをするなら、あらかじめ月面図を数枚コピーしておき、時間ごとに色鉛筆を使って色を付けていくようにすれば簡単だ。 食の進行は意外と早いので、手早く書いていくのがコツだ。

○皆既中の月にはじつにさまざまな色彩が見られるが、写真では十分に表現することが難しい。 絵心に自信があるなら、ぜひともスケッチに挑戦してみてほしい。

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