15年周期の食変光星ペルセウス座γ星が減光期間中
【2019年11月25日 VSOLJニュース】
著者:大島修さん(岡山理科大学)
今月17日に、周期14.6年の明るい長周期食連星系であるペルセウス座γ星(V=2.93等)の食が始まりました。Vバンドで0.3等程度の減光、食の継続時間は約10日間です。減光幅はBバンドで0.6等、Uバンドで0.9等と、短波長ほど大きくなります。
今回の観測と前回1990年の観測を合わせた予報によると、減光は17日3時10分ごろ(日本時、以下同)に始まり(第1接触)、18日10時48分ごろに第2接触となりました。今後は25日19時19分ごろに第3接触(明るさが戻り始める)、27日8時1分ごろに第4接触(明るさが元通りになる)と見込まれます(光度曲線を台形と仮定した場合)。
この連星系が分光連星であることは20世紀前半にはわかっていました。さらに、軌道をほぼ真横から見ていることがわかり、食を起こす可能性が高いことが指摘されていました。そこで1990年に世界規模での観測キャンペーンが行われた結果、約10日間の皆既食が観測され、食連星であることが初めて明らかになりました。このときには日本国内からも3名のアマチュアが参加し、測光観測により確定していなかった食の始まりや数少ないUバンドでの測光など貴重なデータを提供するなどの貢献をしています。
今回の食を測光観測することで、連星の軌道周期を正確に決定できると期待されます。実はペルセウス座γ星は明るい星にもかかわらず、食はまだ1990年の1回しか測光されていません。分光観測からは周期14.593±0.005年と1日以上の誤差を持つ値しか得られていません。また、前回の食は2005年4月に起こっていますが、観測条件が悪く測光データがありません。今回が好条件で観測できる食の2回目となり、1990年の食の日時と今回の食の日時の間隔から、分光観測よりも高い精度で軌道周期を決めることができるのです。今回の観測が成功すれば、次回以降の食は時分までの精度で予報が可能になるでしょう。前述の日時のすぐ前後だけでなく、しばらくの期間にわたる測光観測が重要となります。
また、食の底は平らかどうか(変動があるか)も注目されます。1990年の観測では平らであるはずの底の途中で増光している観測データが複数ありましたが、リアルな現象なのか観測誤差なのか、これまでは判明していません。今回、同じような現象が観測されるか注目されています。
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