秋の食変光星、アルゴルとカシオペヤ座RZを観測しよう
【2024年11月13日 高橋進さん】
変光星が明るさを変える原因にはいろいろありますが、食変光星は連星系で、片方の恒星がもう片方の恒星を隠すことによって変光を起こします。その中でもペルセウス座のアルゴル(β Per)は、肉眼で観測できる数少ない食変光星です。また、カシオペヤ座RZ(RZ Cas)の観測には双眼鏡が必要ですが、わりと短い観測時間で光度曲線を描くことができる人気の食変光星です。
ペルセウス座のアルゴルは星座絵図では怪物メドゥーサの顔にあたる位置にあり、昔から変わった星として知られていました。直径が太陽の2.7倍の高温の主系列星を、直径が太陽の3.5倍の赤色の準巨星が隠すことで食変光が起こります。
食は2.2867日(2日20時間49分)おきに起こり、平常時に2.1等の光度が3.4等にまで暗くなります。平常光度から極小光度まで減光するのに約5時間、その後に平常光度に戻るのにまた5時間かかりますが、さすがに10時間見続けるというのはなかなか大変ですので、通常は極小の前後1~2時間を観測して極小時刻を求めます。望遠鏡も双眼鏡もいりませんので、初心者の方が食変光星を体験するのにお勧めです。観望会などで減光中のアルゴルを多くの人に実感してもらうのも良いでしょう。
カシオペヤ座RZは、直径が太陽の1.6倍の主系列星を太陽の1.9倍の赤色準巨星が隠す食変光星で、1.1953日(1日4時間41分)おきに食が起こります。平常光度が6.2等、極小光度は7.7等ですが、平常光度から極小光度になるのに2時間くらいしかかからないので、変光の様子がわかりやすい星です。双眼鏡が必要ですが、アルゴルより観測しやすい天体とも言えます。
食変光星は長時間の観測が必要ですが、一晩観測すると思った以上にきれいな光度曲線を描くことができます。また極小時刻を何度も観測することで連星系の様々な変化をとらえられ、天文学的にも価値の高いものとなります。この機会にぜひ、食変光星の観測にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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