天文の基礎知識

12. 変光星

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恒星の中には、時間とともに明るさを変えるものがあります。これらを変光星と呼んでいます。全天で5万個を超える変光星が発見されていますが、変光の原因などによっていくつかのタイプに分類されています。

変光星が明るさを変える原因を大きく分類すると、2個(あるいは数個)の連星が互いに隠し合うことによって見かけの明るさが変化する食変光星と、恒星自身の大きさが変化することによって変光する脈動星、さらに、急激な光度変化を見せる爆発変光星とに分けることができます。

食変光星の代表としては、ペルセウス座β星アルゴルが有名です。脈動星の代表としてはくじら座ο星ミラが有名です。また、爆発変光星としては新星や超新星、かんむり座R型星などがあります。

食変光星

食変光星アルゴルは、明るい星と暗い星からなる連星で、2.867日という比較的短い周期で、2.2等級から3.5等級まで変化します。図はアルゴルの変光曲線と2星の位置関係をあらわしたものです。明るい星が暗い星に隠された時に、大きな光度変化が起こります。これを第1極小といいます。また、明るい星が暗い星を隠すときにも僅かな光度変化が起こっています。こちらを第2極小と呼んでいます。

食変光星にはアルゴル型の他に、こと座β型、おおぐま座W型があります。アルゴル型変光星は連星の2星が球形、もしくはわずかな楕円形をしていて、食の始まりと終りがはっきりとわかり、食の中間では大きな明るさの変化はありません(第2極小のないものもあります)。

アルゴルの変光
図1:アルゴルの変光

こと座β型変光星は連星の2星が楕円形をしていて、食の中間においても明るさが連続的に変わるため、食の始まりと終りがはっきりとしません。第2極小は必ず起こりますが、第1極小よりは浅くなります。

おおぐま座W型変光星は連星の2星が楕円形をしていて、お互いの表面がほとんど接触している状態で、食の始まりと終りの時間ははっきりわからず、第1極小と第2極小の深さはほとんど同じとなります。

こと座β型とおおぐま座W型
図2:こと座β型とおおぐま座W型

ステラナビゲータでは、アルゴル型の変光星3個(β Per、λ Tau、δ Lib)と、こと座β型変光星1個(β Lyr)について、その変光の様子をシミュレーションしています。ただし、アルゴル型変光星の第2極小については計算していません。

脈動型変光星

脈動型変光星は、恒星としては巨星または超巨星に属する大きな星で、星自体の大気の周期的な脈動や、それに伴うスペクトル型の変化によって変光する変光星で、その周期の長さや、規則性などによっていくつかのタイプにさらに分類されています。

ミラ型変光星

脈動変光星ミラは約332日の周期で最大2.0等級から10.1等級まで変光する代表的な変光星です。ミラ型の変光星の変光範囲は2.5等級以上と大きく、周期は80日〜1000日にもなります。非常に規則正しい変光をする晩期型の巨星で、M型のスペクトルを持つものが90%以上ともっとも多いのが特徴です。

図3は、ミラの光度、温度、視線、視線速度と視直径の変化をあらわしたものです。 ステラナビゲータでは、ミラ型変光星4個(ο Cet、R Hya、R Leo、χ Cyg)について、その変光の様子をシミュレーションしています。

ミラの変光
図3:ミラの変光

長周期ケフェウス型変光星

長周期ケフェウス型変光星は、絶対等級の比較的大きい周期的脈動星で、変光範囲は0.1等級から2等級まで、周期は1日から50日ほどになります。極大期のスペクトル型はF型ですが、極小期にはG-K型となります。

図4は、代表的な長周期ケフェウス型変光星のケフェウス座δ星の光度変化、スペクトル変化と直径の変化をあらわしたものです。

ステラナビゲータでは、長周期ケフェウス型変光星3個(δ Cep、ζ Gem、η Aql)について、その変光の様子をシミュレーションしています。

ケフェウス座δ星の変光
図4:ケフェウス座δ星の変光