極大を迎えるミラ型変光星おとめ座Rを観よう

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ミラ型変光星のおとめ座Rが5月中旬に極大を迎える見込みだ。このタイプの変光星のなかでは周期が短めで、比較的速い光度変化を楽しめる。

【2024年4月26日 高橋進さん】

長周期変光星のおとめ座R(R Vir)は変光周期が146日で、このタイプの代表星であるくじら座のミラ(周期332日)の半分以下の期間で増減光を繰り返します。変光範囲はおよそ6.5等から12等で、周期が短いおかげでメリハリのある変光が楽しめます。

ミラの場合、増光時は1日あたり0.08等くらいで明るくなり、減光時は1日に0.04等くらい暗くなっていきますが、おとめ座Rは増光も減光も1日に0.07等くらいで変化していきます。つまり1週間で0.5等くらい明るさが変わることになります。2~3か月ほど観測すれば、わりときれいな光度曲線が描けます。小口径の天体望遠鏡があれば、かなりの期間は観測可能です。

おとめ座Rの光度
おとめ座Rの最近の光度(VSOLJのデータベースから高橋さん作成)

このおとめ座Rが、5月15日ごろと予想されている極大に向かって急速に増光中です。おとめ座Rは乙女の右の翼のあたり、星座の領域内で右上(北西)のほうに位置しています。3等星のε(ビンデミアトリクス)から5度西に望遠鏡を向けて5等星のおとめ座ρを見つけたら、南に3.5度下げると5.6等星が見つかります。このすぐ西の、少し赤みがかった星がおとめ座Rです。おとめ座は大きい割に明るい星が少ないので、星をたどるのはややわかりにくいかもしれませんが、慣れると比較的導入しやすい星でしょう。

おとめ座R周辺の星図
おとめ座R周辺の星図。数字は恒星の等級(56=5.6等)を表す。比較星等級はAAVSOによる(「ステラナビゲータ」で星図作成)

さて、変光星観測というと何だか難しいことをするように思われるかもしれませんが、実際には意外と単純です。たとえば図のように星が並んでいて、まんなかの白丸が変光星だとしましょう。この星の明るさを周りと比較して、A星(6.9等)より少し明るくて、B星(6.1等)よりかなり暗かったとします。その比率を「Aから変光星」:「変光星からB」=2:6と見積もったとすると、6.1等と6.9等の差の0.8等を2:6で分けて計算することにより、変光星の等級は6.7等となります。

変光星図の例
変光星図の例。数字は恒星の等級(61=6.1等)を表す。小数点を星と見間違えないようにするため、変光星図では小数点は省略される(作図:高橋さん)

観測に必要な変光星図はAAVSO(アメリカ変光星観測者協会)のウェブサイトなどからダウンロードできます。ステラナビゲータなどの星図も利用できますが、明るさを参照する比較星それ自体が変光星ではないことが簡単にわかるという点でも、変光星図のほうが便利でしょう。

変光星の目測は、慣れれば本当に簡単にできます。おとめ座Rの変光の様子を眺めるだけでなく、目測にもぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。

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