極大期をむかえた夏のミラ型変光星、わし座Rとはくちょう座χ

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夏の代表的なミラ型変光星であるわし座Rとはくちょう座χが、それぞれ6月14日ごろと7月9日ごろに極大をむかえました。

【2024年7月30日 高橋進さん】

わし座R(R Aql)は周期272日、変光範囲6等から10等で、メリハリのきいた光度曲線を描くミラ型変光星です。前回の極大が2023年9月28日ごろだったことから、今季の極大は6月25日ごろと予想されていましたが、それより少し早い6月14日ごろ、およそ6.3等の極大を迎えました。この星としては平均的な明るさの極大でした。

わし座Rの光度
わし座Rの光度(2023~2024年)(VSOLJのデータから高橋さん作成)

わし座Rは明るくなる時も暗くなっていく時もほぼ同じくらいの勾配で明るさを変えていきます。7月下旬でおよそ7等ですが、しばらくは3日で0.1等くらいの速度で暗くなっていき、11月ごろに11等の極小光度になると思われます。

わし座R周辺の星図
わし座R周辺の星図。数字は恒星の等級(63=6.3等)を表す(「ステラナビゲータ」で星図作成、比較星光度はAAVSOによる)

また、はくちょう座χ(χ Cyg)は周期408日、変光範囲4等から14等の、非常にダイナミックな光度変化をみせるミラ型変光星です。こちらの前回の極大が2023年5月26日ごろだったことから、2024年の極大は7月7日ごろと予想されていて、ほぼ予想通りの7月9日に4.5等の極大を迎えました。

はくちょう座χの光度
はくちょう座χの光度(2023~2024年)(VSOLJのデータから高橋さん作成)

はくちょう座χはわし座Rとは異なり、明るくなっていく時は勾配が急で、減光していく時はわりとゆっくりと暗くなっていきます。7月下旬でおよそ5等ですが、2.6日で0.1等くらいの速度で暗くなっていき、来年2月ごろに14等の極小光度になると思われます。

はくちょう座χ周辺の星図
はくちょう座χ周辺の星図(「ステラナビゲータ」で星図作成、比較星光度はAAVSOによる)

どちらの星もまだ明るい状態で、双眼鏡ででも観測可能です。この機会にぜひ、ゆっくりと減光していくミラ型変光星をお楽しみください。

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