急減光から復光する変光星おうし座SU

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かんむり座R型変光星のおうし座SUは今年2月に急激な減光を起こしたが、3月になり復光に転じてきている。ゆっくりと明るくなる様子を追ってみよう。

【2025年3月31日 高橋進さん】

かんむり座R型変光星とは、恒星内部から噴出した炭素の塵が恒星を覆って減光するタイプの変光星です。その多くは炭素星と呼ばれる恒星で、減光は急激に起こり、復光はわりとゆっくりと明るくなっていきます。そのようなタイプの変光星の一つ、おうし座SU(SU Tau)は、普段はおよそ10等ですが、減光が始まると最大で19等くらいにまで暗くなります。

今回の減光が始まったのは今年2月12日ごろと思われ、1日あたり0.2等と急速に減光していきました。ただ、今回は減光開始から20日ほどたった3月6日ごろに減光が止まり、その後はゆっくりと明るさを取り戻しつつあります。復光の速度は1日に0.08等くらいで、このままでいくと数か月後には元の明るさに戻るのではないかと思われます。

おうし座SUの光度
おうし座SUの光度曲線(VSOLJのデータベースから高橋さん作成)

おうし座SUは有名なミラ型変光星のオリオン座Uのすぐ近く、おうし座とオリオン座の境界線のすぐそばにありますので、オリオン座Uとおうし座SUを同じタイミングで観測することができます。平常時には口径10cmくらいの天体望遠鏡で観測可能ですが、減光時は20cmクラスの望遠鏡がおすすめです。メリハリのきいた変光を見せる、かんむり座R型変光星の世界を、この機会にぜひお楽しみください。

おうし座SU周辺の星図
おうし座SU周辺の星図。画像クリックで詳細星図を表示(「ステラナビゲータ」で星図作成)

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