アレシボ電波望遠鏡が崩壊
【2020年12月2日 アメリカ国立科学財団】
プエルトリコのアレシボで天然の窪地を利用して建設された口径305mの電波望遠鏡は、単独の観測施設としては、1963年の完成から2016年に中国の500m望遠鏡FASTに抜かれるまで長らく世界最大を誇った。だが、今年8月に反射鏡の上に受信機を吊すケーブルの1本が切れてしまい、その後もケーブルの破損や切断が続いたため、11月19日には復旧を諦めて解体することが正式に決まっていた。
その矢先、現地時間12月1日午前7時56分に、900tの受信機プラットフォームが約120m下の反射鏡へ落下して、望遠鏡は完全に崩壊した。事故による負傷者はいなかったが、周辺施設にも被害が出ている。受信機を吊すために反射鏡の周囲に建設された高さ約140mの3基のタワーはいずれも上部が外れ落ちているという。
アレシボ天文台を運営するアメリカ国立科学財団とセントラルフロリダ大学は現地スタッフの安全を最優先しつつ、事故の原因と周辺環境への影響を調査する予定だ。また、天文台には305m電波望遠鏡以外にも観測装置があるため、それらの修理や研究はこれからも続けるという。
〈参照〉
- National Science Foundation:Arecibo Observatory’s 305-meter telescope suffers collapse
- University of Central Florida: Arecibo Observatory’s Telescope Collapses
〈関連リンク〉
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