中国の天問1号、火星周回軌道へ投入成功

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中国の探査機「天問1号」が10日夜、火星周回軌道に無事投入された。

【2021年2月12日 中国国家航天局新華社通信

中国国家航天局(CNSA)は、昨年7月に打ち上げられた火星探査機「天問1号」が10日20時52分(日本時間)にエンジン噴射を行って減速し、無事に火星を周回する軌道へ入ったことを発表した。中国の探査機が太陽系内の惑星を周回する軌道に入ったのは初めてのことだ。

天問1号
火星に向かう「天問1号」の自撮り画像。昨年10月1日撮影(提供:中国国家航天局、以下同)

火星
天問1号が約110万kmの距離から撮影した火星

今後カメラなどの観測機器が稼働し探査が始まる。また、5月から6月には、ミッションで最も難しい運用となる着陸機の軟着陸が予定されている。着陸地点には、安全性と科学的価値の観点から、北半球の中緯度地方に位置する広大な「ユートピア平原(Utopia Planitia)」が選ばれた。ユートピア平原は1976年にNASAの火星探査機「バイキング2号」が軟着陸した場所だ。

周回機は火星の1年に当たる約690日間の運用が、着陸機から送り出される探査車は約3か月の活動が、それぞれ計画されている。

「『HOPE』の火星周回軌道投入に成功したアラブ首長国連邦の皆さまにお祝いを申し上げたい。また数日後に控えているNASAの火星探査車『パーサビアランス』の火星着陸の成功をお祈りしております。広大な宇宙を探査することは、全人類共通の夢です。私たちは各国と真摯に協力して宇宙探査を推進していきます」(中国国家航天局局長 / 火星探査ミッション最高司令官 張克倹さん)。