日欧の地球観測ミッション「EarthCARE」衛星、打ち上げ成功

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日本時間29日、日欧が開発した雲エアロゾル放射ミッション「EarthCARE」衛星が打ち上げられた。

【2024年5月29日 JAXAヨーロッパ宇宙機関

日本時間(以下同)5月29日7時20分、JAXAとヨーロッパ宇宙機関が開発した雲エアロゾル放射ミッション「EarthCARE(Earth Cloud Aerosol and Radiation Explorer)」衛星(日本語愛称「はくりゅう」)が、スペースX社のファルコン9ロケットで米・カリフォルニア州バンデンバーグ宇宙軍基地から打ち上げられた。

「EarthCARE」の打ち上げ
「EarthCARE」の打ち上げ(提供:SpaceX

衛星は8時14分にロケットから分離され、その後に地球周回軌道への投入を示すテレメトリが受信されて打ち上げは成功した。ソーラーウィングと呼ばれる大きな太陽電池パネルの展開もすでに完了しており、3年にわたるミッションを開始した。

EarthCAREは、雲とエアロゾルとの相互作用による地球大気の放射収支メカニズムを解明し、気候変動予測の精度向上を目指すミッションだ。地表が太陽から受けるエネルギーと地表から宇宙に逃げるエネルギーの差である「地球大気の放射収支」には、温室効果ガスと同様に雲やエアロゾルが大きな影響を及ぼしていて、気候変動予測の結果に最大の不確実性をもたらしている。この雲やエアロゾルに関する科学的知見に対して、EarthCareの貢献が期待される。

衛星は雲プロファイリングレーダ(CPR)など4つの観測センサーを使って、精緻な雲やエアロゾルの全地球的データを取得する。JAXAが提供したCPRは、雲の分布だけでなく動き(ドップラー速度)をとらえたり、台風のような厚い雲の内部をも見通して雲・エアロゾル内部の鉛直構造を調べたりできる。

「CPRは雲の中の上昇流と下降流の速度を測定できる世界初のレーダーです。EarthCAREのデータを利用することで、地球規模の気候モデルの精度が向上し、将来の気候をより正確に予測し、必要な緩和策を講じることができるようになります。EarthCAREのデータが素晴らしいものになると期待しています」(EarthCARE JAXAプロジェクトマネージャー 富田英一さん)。

EarthCAREに搭載されている4つの観測センサーと衛星の主な仕様
EarthCAREに搭載されている4つの観測センサー(左)と、衛星の主な仕様(右)。画像クリックで拡大表示(提供:JAXA)