平成28年度の天文・宇宙分野の文部科学大臣表彰

このエントリーをはてなブックマークに追加
平成28年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者が発表され、天文・宇宙分野ではアルマ望遠鏡アンテナ開発チームが科学技術賞、国立天文台理論部の研究者が若手科学者賞を受賞するなどの表彰があった。

【2016年4月25日 文部科学省国立天文台

平成28年度の科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者が発表され、4月20日(水)に表彰式が行われた。この賞は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた方々の功績を讃え、科学技術に携わる者の意欲の向上や科学技術水準の向上に寄与することを目的とするものである。

天文・宇宙分野からは、以下の方々が受賞された。

〈科学技術賞〉

社会経済、国民生活の発展向上等に寄与し、実際に利活用されている(または今後利活用が期待される)画期的な研究開発、発明を行った方を対象とした賞。

開発部門

  • 齋藤正雄さん(国立天文台野辺山宇宙電波観測所所長)
  • 水野範和さん(国立天文台チリ観測所)
  • 井口聖さん(東アジア アルマプロジェクトマネージャー、国立天文台チリ観測所)
  • 川口昇さん(三菱電機株式会社通信機製作所)
  • 大島丈治さん(三菱電機株式会社通信機製作所)

受賞対象となった業績:「超高精度サブミリ波望遠鏡ALMAアンテナの開発」

アルマ望遠鏡のアンテナは、波長の短いサブミリ波をチリ・アタカマ高原の厳しい自然環境の下でも効率よく受信することが要求される。齋藤さんたちアルマ望遠鏡アンテナ開発チームは、高い鏡面精度と追尾精度を実現するシステムを新たに考案し、アルマ望遠鏡の運用に寄与したことが評価された。

  • 鈴木新一さん(宇宙航空研究開発機構 ALOS-2プロジェクトチーム プロジェクトマネージャー)
  • 大澤右二さん(宇宙航空研究開発機構)
  • 鳩岡恭志さん(宇宙航空研究開発機構)
  • 匂坂雅一さん(宇宙航空研究開発機構)
  • 島田政信さん(東京電機大学)

授賞対象となった業績:「陸域観測技術衛星2号による高精度地殻変動観測技術の開発」

科学技術振興部門

科学技術の振興に寄与する活動を行った方を対象とした賞。

  • 沖理子さん(宇宙航空研究開発機構)
  • 可知美佐子さん(宇宙航空研究開発機構)
  • 久保田拓志さん(宇宙航空研究開発機構)

授賞対象となった業績:「準リアルタイム衛星全球降水マップ技術の振興」

〈若手科学者賞〉

萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者を対象とした賞。

  • 関根康人さん(東京大学)

授賞対象となった業績:「惑星や衛星の大気と海洋および生命の起源と進化に関する研究」

土星の衛星エンケラドスや火星、太陽系外惑星などを対象として、とくに生命が存在する(あるいはしそうな)天体の誕生と進化について研究。

  • 銭谷誠司さん(国立天文台)

授賞対象となった業績:「相対論的磁気リコネクションの先駆的シミュレーション研究」

相対性理論を考慮すべき高エネルギー天体の周辺で起こる「相対論的磁気リコネクション」の重要性を予見し、プラズマ粒子の運動状態を解くシミュレーションを世界に先駆けて研究。

  • 田中雅臣さん(国立天文台)

授賞対象となった業績:「宇宙の爆発現象に関する理論的および観測的研究」

超新星爆発のメカニズムや中性子星同士の衝突合体といった先駆的な理論シミュレーションと観測による検証を融合し、宇宙における爆発現象を研究。

  • 西村幸敏さん(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)

授賞対象となった業績:「高感度カメラ網を用いたオーロラ及び宇宙嵐発生機構の研究」

田中さん、銭谷さん、齋藤さん
若手科学者賞受賞の田中さん(左)、銭谷さん(右)と科学技術賞(開発部門)受賞代表者の齋藤さん(中央)。表彰式にて(提供:国立天文台)

〈参照〉

〈関連リンク〉

〈関連ニュース〉