112億年彼方、X線が検出された最遠の銀河団

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ハッブル宇宙望遠鏡で発見された銀河の集まりが銀河団であることが、アルマ望遠鏡やX線天文衛星などの観測から明らかになった。この天体までの距離は112億光年で、X線が検出された銀河団としては最遠のものである。

【2016年9月1日 アルマ望遠鏡Chandra

ろくぶんぎ座方向にある銀河の集団「CL J1001+0220」は、ハッブル宇宙望遠鏡による発見当初は見かけだけの集まりなのか、それとも実際に重力で結びついた「銀河団」なのかがはっきりしていなかった。

Tao Wangさん(フランス原子力・ 代替エネルギー庁)たちの研究チームは、アルマ望遠鏡など各国の大型望遠鏡の観測から、CL J1001+0220に含まれる銀河がほぼ同じ距離にあり、見かけのうえだけではない銀河団であることを確認した。

さらにNASAの「チャンドラ」とヨーロッパの「XMM-Newton」という2つの天文衛星の観測から、これらの銀河を取り囲む巨大なX線放射源を検出した。これは、銀河団内に満ちた高温のプラズマガスによる放射とみられる。

銀河団「CL J1001+0220」
銀河団「CL J1001+0220」(提供:X-ray: NASA/CXC/CEA/T. Wang et al; Infrared: ESO/UltraVISTA; Radio: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO))

CL J1001+0220の赤方偏移はz=2.506で、最新の宇宙論パラメータを用いて計算すると銀河団までの距離が112億光年と求められる。これはX線が検出された銀河団としては最遠のものだ。

今回の発見により、これまで考えられていたよりも7億年ほど昔から宇宙に銀河団が存在していたことが明らかになった。これまで見ることのできなかった誕生直後の銀河団として、今後も注目を浴びそうだ。

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