惑星の残骸に取り囲まれて瞬く星
【2017年12月28日 NASA】
地球から約550光年の距離に位置する「うお座RZ星」は不規則に暗くなることがある不思議な天体で、通常の10分の1ほどの明るさまで減光した状態が最長で約2日続く。光度の8%を赤外線が占めており、太陽よりもはるかに赤外線放射の割合が大きいことから、うお座RZ星は赤外線を放射する暖かい塵の円盤に取り囲まれていると考えられてきた。
様々な観測結果から、うお座RZ星は密集した小惑星帯に囲まれた若い星であり、頻繁に起こる小惑星同士の衝突によって塵が生じているとする説があった。しかし、若い星の周囲の塵円盤は数百万年のうちに消えてしまうはずなので、うお座RZ星は赤色巨星へと進化し始めたばかりの太陽よりも年老いた星であるという説も考えられている。星が年老いて膨張することにより惑星が破壊され、それが塵の供給源になるというのだ。
米・ロチェスター工科大学のKristina Punziさんたちの研究チームは天文衛星「XMMニュートン」とリック天文台のシェーン望遠鏡、ケック天文台のケックI望遠鏡を使って、うお座RZ星を詳しく調べた。まず、XMMニュートンの観測によりX線放射が非常に強いという若い星の特徴がとらえられ、うお座RZ星の年齢に関する疑問は若い星という答えで決着がついた。
また、地上からの観測で星の表面温度やリチウムの量が調べられ、そのデータからうお座RZ星の年齢が約3000万~5000万歳と推定された。これは太陽などに比べればはるかに若いが、星の誕生から数百万年で消えてしまうガスや塵が星の周囲に残っていると考えるのは難しい。「塵やガスはおそらく、惑星が破壊されて作られたものでしょう」(米・カリフォルニア大学ロサンゼルス校 Ben Zuckermanさん)。
地上からの観測からはさらに、星から5000万kmほどの距離に大量のガスを伴った塵が存在している証拠が得られた。「太陽系で言えば水星の軌道に近い領域に大量の残骸が存在していると考えていますが、同時に、水素の豊富なガスによる様々な変動も観測されています。これは物質が星に向かって落ち込んだり、星の外側に向かって流れてたりしていることを示す証拠です」(米・カリフォルニア大学 Carl Melisさん)。
「塵やガスの巨大な塊が星の周りを回っているため、星の光が時々遮られて明るさが変わって見えるのです。塵やガスのもとについては様々な可能性がありますが、私たちは惑星が破壊されてできたものだと考えています」(Punziさん)。
〈参照〉
- NASA:New Study Finds 'Winking' Star May Be Devouring Wrecked Planets
- The Astronomical Journal:Is the Young Star RZ Piscium Consuming Its Own (Planetary) Offspring? 論文