自然界に働く「第5の力」発見か

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新しく発見された可能性がある、これまで知られていなかった粒子は、自然界の「第5の力」の存在を示すものかもしれないという説が発表された。

【2016年8月18日 UCI News

「これが本当なら革命的です。これまで自然界では『重力・電磁気力・強い力・弱い力』という4つの力の存在が知られてきました。今回の発見が正しければ4つの力とダークマターが統一され、宇宙に対するわたしたちの理解が根本的に変わることでしょう」(米・カリフォルニア大学・アーバイン校 Jonathan Fengさん)。

NGC 6814銀河
わし座の銀河NGC 6814。第5の力が発見されれば、こうした銀河を一つにまとめている仕組みの理解もこれまでとは異なってくる(提供:ESA/Hubble & NASA; Acknowledgement: Judy Schmidt)

2015年にハンガリー科学アカデミーの核物理学者によって行われた実験で、電子の30倍の質量を持つ軽い粒子の存在を示唆する放射性崩壊の異常が明らかになっていた。Fengさんたちの研究チームはこのデータを含めた多くの実験を詳しく調べ、この粒子が普通の物質を構成する粒子でもダークフォトン(ダークマター候補)でもないことを示した。

そこで研究チームは新たな理論を打ち立て、この粒子発見が5つ目となる自然界の基礎的な力の存在を示唆するものである可能性を提案した。粒子の正体はダークフォトンではなく、「疎陽子性Xボソン(protophobic X boson)」とも呼ぶべき粒子かもしれないという。普通の電磁気力は電子や陽子と相互作用するが、新発見されたボソンは電子と中性子としか相互作用せず、作用する距離がひじょうに小さいという特徴を持つ。

一つの方向性としてFengさんの興味を駆り立てるのは、第5の力がひょっとすると電磁気力・強い力・弱い力と結合されうるかもしれないという点で、検証にはさらなる実験が必須だと話している。