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2004年9月29日 小惑星トータチスが地球に大接近

2004年9月29日、小惑星(4179)トータチスが地球に大接近します。日本からは、9月20〜27日ごろまで宵の南の空に見られ、1時間あたりおよそ15分角もの猛スピードで天球上を移動していきます。

明るさは10等級ほどで、望遠鏡で観測すれば、どんどんと移動していくようすがわかるでしょう。また、一眼デジカメやCCDカメラで移動のようすを連続撮影するのも面白いでしょう。

小惑星トータチスの特徴

(地球やトータチスの公転軌道の図) トータチスは、1989年1月4日に発見された小惑星です。ややつぶれた楕円軌道を公転しており、近日点(太陽にもっとも近づく点)では地球軌道の内側まで入り込みます。ほぼ4年ごとに地球と接近しますが、1992年には350万キロメートル、2000年には1105万キロメートルまで近づきました。

そして今回、9月29日には、155万キロメートルまで近づくという大接近になります。これは、月までの距離のおよそ4倍、2003年夏に「歴史的な大接近」と話題になった火星が最接近した時の距離のおよそ36分の1に相当します。

トータチスのレーダー観測から、形や大きさなどが明らかになっています。それによると、直径4キロメートルと2.5キロメートルの岩の塊がくっついたような形状をしており、表面には多数のクレーターがあることがわかっています。

(レーダー観測によって捉えられたトータチスの画像)
1992年12月に撮影されたトータチス。クリックで拡大(提供:S. Ostro, NASA, JPL)

観測の仕方

トータチスは、9月上旬にはやぎ座の東にあり、明るさは12等級ほどです。その後やぎ座の東を南下していき、9月20日ごろには10等級前後まで明るくなります。このころになると、中口径の望遠鏡でも捉えられるようになるでしょう。

(地平座標でのトータチスの位置を示した図) 日本からの観測好期は9月23日から27日ごろまでです。20時の地平高度が30度から10度へと下がっていくので、南方向の視界が開けている場所で観測するようにしましょう。このころには9等級まで明るくなっており、1時間あたりおよそ15分角ほど移動します。2〜3分で木星の視直径分ほど、約2時間で月の視直径ほど移動することになるので、望遠鏡で眺めている間にもどんどんと背景の恒星に対して移動していくようすがわかるでしょう。詳しい位置については以下の星図を参考にしてください。

その後トータチスは日本からは見えなくなりますが、さらにスピードを上げながら移動し、地球に最接近する29日にはケンタウルス座に達しています。10月5日ごろから、今度は明け方の東の空で見られるようになりますが、明るさは15等級台まで暗くなってしまいます。

観測には、口径10cm程度以上の望遠鏡が適しているでしょう。星図を参考にして周りの恒星と見比べながら探しましょう。見ているうちにもどんどん移動していくので確認はさほど難しくないはずです。

また、デジタル一眼レフカメラやCCDカメラで30分から1時間おきに撮影すれば、移動のようすを捉えることもできるでしょう。

星図

星図中の視野円をクリックすると、それぞれの日付の詳細な星図を拡大して表示します。
(赤道座標でのトータチスの位置を示した図) (2004年9月24日の位置の詳細星図) (2004年9月25日の位置の詳細星図) (2004年9月26日の位置の詳細星図)