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「小惑星による恒星食」に注目しよう

2005年1月24日と27日に、比較的好条件の「小惑星による恒星食」が予報されています。予報されている地域とその周辺の方は、ぜひ注目してください。

情報提供/早水 勉(せんだい宇宙館)

これらの現象については「月刊 星ナビ」2005年1月号、2月号にも詳しく掲載されています。

小惑星による恒星食とは

恒星食イメージ図

小惑星による恒星食とは、小惑星が恒星の前を通過する現象です。太陽系内を運動する暗い小惑星が、明るい恒星の前を通過すると、恒星がその間だけ暗くなったように見えます。近年、アマチュアの新たな天体観測ジャンルとしても注目されています。

特に1月24日の小惑星Floraによる恒星食は、2005年に日本国内で起こる小惑星による恒星食の中では、観測条件が最高クラスの現象であると予報されています。また、1月27日の小惑星Legiaによる恒星食は、食となる恒星が7.1等と、小惑星による恒星食としては明るく観測しやすい現象です。ただし小惑星Legiaは、推定直径が約30kmという小さな小惑星で、現象が起こる地域が比較的狭く、予報の誤差もやや大きいことが予想されています。

これらの現象は、星図をたよりに目的の星を見つけることさえできれば、小口径の天体望遠鏡でも恒星が暗くなることを確認できます。また、ビデオを用いてその様子を撮影することも可能です。時刻を正確に測るといった観測も、GPSとパソコンなど、道具さえ用意すれば比較的簡単に取り組むことができます。

予報map
破線は誤差(1σ)で、この内側で68%の確率で食が起こる。
予報提供:Steve Preston (IOTA) ※クリックで拡大

1月24日 小惑星Floraによる恒星食

1月24日23時14分頃、小惑星(8)FloraによるHIP36864(8.3等)の食があります。

小惑星が隠される恒星とほぼ同等の明るさです。数時間前から観察すれば、小惑星が一直線に恒星に接近する様子を楽しめます。現象の直前には両者を分離することができなくなり、合成した等級(7.8等)となります。食が起きると、瞬間的に小惑星の明るさが8.8等に減光します。減光が浅いので、ビデオ観測の場合には恒星像が飽和しないよう気をつける必要があります。角度で5度離れたところに満月近い月がありますが土星を目印にして望遠鏡を向けるとよいでしょう。

1月27日 小惑星Legiaによる恒星食

瀬戸口貴司氏(東亜天文学会)により、独自に予報された現象です。小惑星が推定直径31kmと小型であることを除いては、好条件が揃った現象です。隠される恒星は7.1等と明るいため双眼鏡でも確認できる現象です。現象の時刻を測る観測では、望遠鏡を用いることをおすすめします。他の現象に比べて小惑星の軌道の精度が良くないため、現象が起こる地域の誤差は比較的大きく見積もられています。