●アフリカ南部を横断する皆既帯
2001年6月21日に見られる皆既日食は、皆既継続時間が最長で5分強という見ごたえあるものですが、残念ながら皆既継続時間が最長となる場所は大西洋上です。この場所から、皆既帯の中心線に沿って始端、終端に近い場所ほど皆既継続時間が短くなります。したがって、皆既帯の通るアフリカ大陸の中で、もっとも皆既継続時間が長くなる場所は、大陸の西側となるアンゴラの大西洋岸です。
次に、アフリカ大陸を横断する皆既帯の気候を調べてみると、日食の見られる前後では、大陸の西側ほど晴天率が高いようです。つまり、日食条件・天候条件の点から、アンゴラの大西洋岸が、皆既継続時間も長く、気候的にも晴天率が高いことになり、皆既日食を見るにはいちばん条件のよい観測地といえるでしょう。
ところが、アンゴラは、きわめて政情が不安定な状態が続いています。1975年に400年にもわたるポルトガルの植民地支配からアンゴラ人民共和国として独立しましたが、その後に政権争いの内戦が起こりました。現在、各勢力間での和平合意がなされ、内戦は終結していますが、いまだに反政府勢力は各地で政府軍とゲリラ戦を起こしています。そのため、外務省からも日本人の退避勧告(安全な国への避難や帰国を勧めるもの)が出されている地域もあるほどです。したがって、皆既日食観測のためにアンゴラへ渡航することはきわめてむずかしい状況といえます。
参照 → 外務省「海外危険情報」一覧 アフリカ
『エクリプスナビゲータ』による皆既帯地図
●日食ツアーの観測候補地は3カ国
そこで、アンゴラに続く好条件の観測地となると、アンゴラの東に隣接するザンビア共和国ということになるでしょう。ザンビアはアンゴラと比較するとじゅうぶん政情が安定しています。とはいえ、アンゴラ国境付近はアンゴラからの避難民や投降した兵士等が流入するなど、治安がやや悪化しています。高い晴天率を追い求めて、国境付近まで向かうのは控えたほうがよいでしょう。
幸いなことに、ザンビアの首都ルサカを皆既帯が覆っています。晴天率もアンゴラやザンビア西側の地域と比べるとわずかに低い程度です。国際空港もルサカにあり、入国すれば長距離の移動もなく、すぐに皆既帯に入ることが可能というわけです。ルサカでは、皆既時の太陽高度が約31度、皆既継続時間は皆既帯中心線上で3分40秒ほどになります。治安、天候、アクセスなど考慮すると、今回の日食観測地としてはもっとも好条件といえるでしょう。
ザンビアの東の隣国となるジンバブエ共和国の首都ハラレの北方も観測地として注目されています。国際空港のある首都ハラレは、ザンビアのルサカから400キロメートルほど南東に位置していて、気候はルサカとそれほど差違がありません。ただし、皆既帯はハラレから250キロメートルほど北のザンビアとモザンビークとの国境付近を通過しています。残念ながら、皆既帯中心線付近には大きな都市がなく、ハラレに宿泊して観測のための移動が必要です。ただし、政情や治安、天候などを総合的に考慮すれば、ハラレ近辺がもっとも妥当な観測地といえるかもしれません。
次に皆既帯が通るのは、モザンビーク共和国ですが、アフリカ大陸東岸地域では晴天率が低下し、日食観測地としては適当ではありません。しかし、さらに西に目を向ければ、インド洋に浮かぶマダガスカル島を皆既帯が横断しているのに気づきます。マダガスカル島では、太陽が西に大きく傾いたところで皆既となり、島内のほとんどの場所では、太陽がわずかに欠けたまま海に沈むことになります。逆に地上の景色や水平線ごしのコロナが見られるわけで、こうした情景を楽しみたい人にとっては好都合といえるでしょう。天候条件は、島の西海岸は晴天率く、マダガスカル共和国のモロンベ周辺が観測地として考えられます。
●皆既日食の楽しみと観測方法
●アフリカ南部皆既日食の皆既帯
●『星ナビ』協賛日食ツアー
ザンビア・ルサカコース(近畿日本ツーリスト/本社営業本部)
ザンビア・ルサカコース(日通旅行/新宿旅行支店)
ジンバブエ・ケニア観光コース(日通旅行/首都圏旅行支店)
ジンバブエコース(日通旅行/新宿旅行支店)
マダガスカルコース(日通旅行/新宿旅行支店)
●日食シミュレーション『エクリプスナビゲータ』
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