NASAの探査機インサイト、火星への着陸に成功
【2018年11月28日 NASA JPL】
日本時間(以下同)11月27日の朝4時50分ごろ、2018年5月に打ち上げられたNASAの火星探査機「インサイト(Mars Interior Exploration using Seismic Investigations, Geodesy and Heat Transport; InSight)」が、火星の赤道付近にある「エリシウム平原」に無事到着した。着陸の約30分後にはソーラーパネルの展開にも成功し、インサイトの火星探査がスタートした。
「私たちは本日、人類にとって8回目となる火星への着陸成功を果たしました。インサイトは火星の内部を調べ、月や火星へと宇宙飛行士を送り出すための準備に役立つ貴重な科学的情報を提供してくれることでしょう。着陸の成功は、米国と国際協力パートナーによる創意工夫の高い能力を示すものであると同時に、インサイトミッションのチームによる献身的で忍耐強い取り組みの証です」(NASA長官 Jim Bridenstineさん)。
「インサイトは火星の大気中を時速1万9800kmもの速度で下降しました。火星の表面へタッチダウンするまでにかかった時間は、たった6分半です。その短い時間の間に、探査機は自律稼働によって10以上の操作を完璧にこなさなければなりませんでしたが、すべての動作が正確に実行されました」(インサイト・プロジェクトマネージャー Tom Hoffmanさん)。
インサイトは1週間以内に科学的なデータの収集を開始する予定で、観測機器の準備を進めている。「着陸にもわくわくしましたが、今はドリルによる掘削を楽しみにしています。技術チームと運用チームは送られてくる画像を見て、観測機器の展開場所の検討・決定に全力を注ぎます。2~3か月以内に、探査のメイン計測機器である火星地震計『SEIS(Seismic Experiment for Interior Structure)』と熱流量測定装置『HP3(Heat Flow and Physical Properties Probe)』が配備されます」(インサイト主任研究員 Bruce Banerdtさん)。
インサイトの探査予定期間は2020年11月24日までの約2年間(火星における約1年)だ。火星の内部を奥深くまで調べ、地球や月を含めた岩石天体が形成された過程の謎に迫っていく。
インサイトの火星着陸を知らせる信号は、インサイトと同時に打ち上げられた2機の超小型人工衛星「MarCO(マルコ)」を中継して地球に送信された。信号中継という大役を果たしてマルコの運用は終了したが、飛行データ等の解析は今後も続けられる。「手提げカバンほどの大きさの勇敢な衛星にとって、大変な活躍です。超小型人工衛星(キューブサット)の大きな未来が地球の先にあると考えていますが、MarCOの運用チームは、その先駆者としての役割をとても喜ばしく思っています」(マルコ・プロジェクトマネージャー Joel Krajewskiさん)。
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