探査機「あかつき」が紫外線で見た金星

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探査機「あかつき」が撮影した画像から作成された、金星の擬似カラーのアニメーションが公開された。

【2019年3月28日 JAXA宇宙科学研究所

動画は、JAXAの金星探査機「あかつき」が2018年11月16日から12月7日までの3週間に取得した画像から作成されたものだ。「あかつき」搭載の紫外イメージャ(UVI)を用いて、金星の高度約70kmにある雲頂付近と思われる領域を波長283nmと365nmでとらえている。

金星の擬似カラーアニメーション。283nmを青、365nmを赤、両者の混合を緑として着色されている。左上隅の数字は観測時刻(世界時)、左下隅は金星から見た探査機方向と太陽方向がなす角度、右下隅は探査機の高度を示す(提供:PLANET-C)

金星では「スーパーローテーション」という秒速100mに達する高速の風が吹いていて、硫酸の雲はどこでも右(東)から左(西)へと流れている。スーパーローテーションのメカニズムを調べることは「あかつき」の目的の一つだ。

アニメーションからは、アルファベットの「V」または「Y」の字を左側に倒したような巨大な暗部が、形を変えながら西向きに伝播していることがわかる。このようなパターンは金星以外では見られないもので、メカニズムはわかっていない。また、暗部の色が変動している様子も見て取れる。赤みがかったところは硫酸の雲の材料となる二酸化硫黄が比較的多く、青みがかったところは金星特有の黄色っぽい色を作り出す未知の化学物質が比較的多くなっている。

中緯度には斜めの筋状の模様が見られ、雲が斜めに引き伸ばされてこのパターンが作られるようにも見える。雲は赤道地方から両極まで運ばれていくようだが、そのようなひとつながりの南北循環は地球では見られないものだ。さらに、大気が西向きに流れていくにつれて南北に広がるような動きが見られ、粒状の雲塊が目立ってくる。これらの雲塊は地球の積乱雲に似た印象だが、その気象のしくみはわかっていない。

こうした連続的なデータとシミュレーションとを融合させた研究により、観測データには直接とらえられていない現象までも再現して、金星の大気循環のしくみに迫ることが期待される。