月探査機「チャンドラヤーン2号」の着陸機、依然通信できず

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インドの月探査機「チャンドラヤーン2号」から分離された着陸機「ヴィクラム」は、今月7日に実施された月面への降下中に通信を絶った。月面上にあることは確認されているが、残念ながら現在も通信は確立していない。

【2019年9月17日 インド宇宙研究機関】

今年7月に打ち上げられたインドの月探査機「チャンドラヤーン2号」は、8月に予定どおりの月周回軌道へ入り、飛行を続けてきた。探査機には地形マッピングカメラ2(TMC-2)や、月探査史上最高となる0.3mの空間分解能を持つ周回機高解像度カメラ「OHRC」(Orbiter High Resolution Camera)が搭載されており、これまでの探査で撮影された鮮明な月面画像が公開されている。

チャンドラヤーン2号が撮影した月面
「チャンドラヤーン2号」の地形マッピングカメラ2(TMC-2)が8月下旬に撮影した月(提供:ISRO、以下同)

今月2日、上空35kmの軌道上を周回していたチャンドラヤーン2号から、月の南極域への着陸を目指す着陸機「ヴィクラム(Vikram)」が分離された。月の南極域への軟着陸が成功すれば世界初の快挙となる。

「ヴィクラム」の想像図
月面に着陸する「ヴィクラム」の想像図

ヴィクラムは7日に月面への降下を開始し、上空2kmあたりまでは順調に高度を下げていたが、テレメトリデータが高度335mを示した時点で通信を絶った。インド宇宙研究機関(ISRO)ではヴィクラムとの通信を試みているが、17日時点でも通信は確立していない。ただし、ヴィクラムの位置については、チャンドラヤーン2号によって上空から確認されている。

ヴィクラムのテレメトリデータのモニター画像
ヴィクラムのテレメトリデータのモニター画像(提供:下記動画よりキャプチャ)

ISROでは、ヴィクラムとの通信は途絶えたものの、これまでにミッションにおける90~95%の目的が達成されており、今後もチャンドラヤーン2号による月の科学探査への貢献は続くと発表している。

ヴィクラムの月面降下運用の中継録画「Landing of Chandrayaan-2 on Lunar Surface」(提供:ISRO Official)}