がか座β星系の系外彗星、サイズ測定に成功
【2022年5月11日 フランス国立科学研究センター】
63光年の距離にある4等星、がか座β星は、約2000万歳と年齢が非常に若く、周囲にガスと塵の円盤(原始惑星系円盤)が見つかった最初の恒星の一つだ。円盤から誕生した惑星が少なくとも2つ見つかっているほか、1987年には太陽系外で初めて彗星が検出されている。これは彗星の巨大な尾が、がか座β星の光を遮ったときの減光をとらえたものだ。2014年には同じ手法で約500個の彗星の軌道が調べられた。
仏・パリ天文物理学研究所のAlain Lecavelier des Etangsさんたちの国際研究チームは今回、彗星の本体、彗星核の大きさを測定することに成功した。研究チームはNASAの系外惑星探査衛星「TESS」を用いて、がか座β星系を156日間にわたって観測し、彗星本体が恒星の手前を通過することによる減光を検出した。この観測から新たに30個の彗星を発見し、さらに核の大きさが直径3~14kmであることを明らかにした。
今回の結果を元に、がか座β星の周りに存在する彗星の大きさの分布を推定したところ、太陽の周りを回る彗星の分布と驚くほど似ていることが明らかになった。がか座β星周囲の彗星も太陽系の彗星と同じように、衝突と分裂を繰り返して形成された可能性を示唆する結果だ。
地球の水の一部は彗星によってもたらされたと考えられており、彗星が惑星の性質に与える影響の解明が求められている。今回の成果は、惑星系における彗星の起源と進化の解明に役立つものとなりそうだ。
〈参照〉
- CNRS:Discovery of 30 exocomets in a young planetary system
- Nature Scientific Reports:Exocomets size distribution in the β Pictoris planetary system 論文
〈関連リンク〉
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