星座八十八夜 #85 太陽にもっとも近い恒星がある「ケンタウルス座」

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ケンタウルス族の星座は〈いて座〉と〈ケンタウルス座〉の2つがあります。この星座は、野蛮なケンタウルス族の中では珍しく教養があり、性格も穏やかだったフォロス、ということになっています。

【2024年5月10日 アストロアーツ

星座八十八夜

「スマホで楽しむ星空入門」より抜粋)

見どころ

〈ケンタウルス座〉は、東京では春から初夏にかけて南の地平線に見える星座です。2等星が多く、わりと見つけやすいのですが、星の並び方が複雑で、星座の形をたどるのは難しいでしょう。

沖縄では高度が上がって、ケンタウルスがほぼ全身を現します。すると、地平線近くに馬の前足の星が見えるようになります。これらの星はリギルケンタウルス(トリマン)とハダルという1等星です。

リギルケンタウルスはトリマンという星と連星になっていて、合わせると全天で3番目に明るい星です。太陽から約4.3光年のところにあり、太陽に最も近い星系です。実際に最も近いのは、リギルケンタウルスとトリマンとの暗い連星であるプロキシマケンタウリで、約4.2光年のところにあります。

ケンタウルス座
〈ケンタウルス座〉と〈おおかみ座〉(左)、〈みなみじゅうじ座〉(右下)

星座の起源

古代メソポタミアで半人半牛の星座が作られたのが起源とされます。ギリシアで半人半馬になりました。

星座の物語

ギリシア神話では、ヘルクレスの4番目の冒険に、ニ人のケンタウルスが出てきます。

ヘルクレスが冒険に行く途中、ケンタウルス族が住んでいる山にさしかかりました。彼らの多くは乱暴者でしたが、中にはやさしいケンタウルスもいたのです。ヘルクレスはそんなケンタウルスの一人、フォロスのところで食事をごちそうになりました。ところが、ヘルクレスはフォロスの大事なお酒を無理やり飲んでしまい、それを知って怒ったほかのケンタウルスと大げんかを始めてしまったのです。そのうえ、なんとケンタウルスたちの住んでいる洞くつに向けて、猛毒の弓矢を打ちこみました。

矢に当たったケンタウルスたちはバタバタと倒れていきました。ヘルクレスが少年のころ弓矢を教わったことのある賢者ケイロンや、フォロスもこの騒ぎで死んでしまいました。ケイロンを見つけて我に返ったヘルクレスは深く反省し、とても悲しみました。天の上からこの騒動を見ていた神々も悲しんで、後に賢者ケイロンとやさしいフォロスを天に上げて星座にしてあげたということです。

ケンタウルス座になったのはフォロスとされることもあれば、ケイロンとされることもあります。

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