星座八十八夜 #88 南天で人気ナンバーワン「みなみじゅうじ座」

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南天の星の並びでは最もよく知られた南十字星(サザンクロス)は、5月ごろ沖縄の宵空で見ることができます。面積は全天最小ですが、2つの1等星が輝く豪華な星座です。

【2024年5月21日 アストロアーツ

星座八十八夜

「スマホで楽しむ星空入門」より抜粋)

見どころ

全天でいちばん小さな星座の〈みなみじゅうじ座〉は、小さくても2つの1等星が輝いているという、ぜいたくな星座です。南十字星という愛称がよく知られています。

南十字星は沖縄県の那覇市あたりでも、高度が7度くらいと低いところにありますが、十字の4つの星をぎりぎり見ることができます。沖縄で南十字星が見られるのは、1月なら朝の5時ごろ、3月は1時ごろ、5月は22時ごろです。6月は日没のころ見られるかどうかで、7月から12月は残念ながら見られません。沖縄でもし元日に初日の出を拝むことがあれば、まだ暗い6時ごろに南十字星も見ることができます。

南十字星を見るときには、〈ほ座〉と〈りゅうこつ座〉の境にある「にせ十字」と間違えないように注意しましょう。「にせ十字」の方はもうすこし高度が高く、1月の2時ごろ、3月の22時ごろ、11月の5時ごろに南中します。

みなみじゅうじ座
〈みなみじゅうじ座〉(左)と「にせ十字」(右)

星座の起源

この十字の星は、昔はバビロニアやギリシアでも南の空低くに見ることができました。古代ギリシアでは〈ケンタウルス座〉の一部となっており、プトレマイオスの「アルマゲスト」にも〈みなみじゅうじ座〉の星が記録されています。その後、地球の歳差運動のために星空全体がずれて、当地の人々の視界から姿を消してしまいました。

これらの星が再び人々に知られるようになったのは、15世紀になり大航海時代を迎えてからでした。南半球の海へ船を向けた探検家たちは、初めて航海した南の海の上で星空を見上げ、まだ見たことのないたくさんの星々が並んでいることを知りました。そして、その星空の中に小さな十字架の並びを見つけたとき、思わず十字を切って航海の無事を祈ったのかもしれません。このようにして、この十字架をかたどる星々が「南十字星」と呼ばれるようになりました。

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