土星の新衛星100個以上を公表、合計274個に
【2025年3月21日 ブリティッシュコロンビア大学(1)/(2)】
3月11日付の国際天文学連合小惑星センターの小惑星電子回報で、台湾・中央研究院天文及天文物理研究所のEdward Ashtonさんたちの研究チームによる土星の新衛星128個の発見が報告された。土星の衛星数は274個となり、これは太陽系内の他の惑星の衛星数の合計(142個)の2倍に迫る多さである。
Ashtonさんたちは2019年から2021年にかけて、カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡を使って土星周辺の空域を繰り返し詳細に観測し、まず64個の新衛星を発見した。その観測で、それ以外の衛星候補が多数検出されたことから、研究チームは2023年に再び観測を実施し、残りの64個の衛星の存在を確認した。
2007年9月に探査機「カッシーニ」がとらえた土星と一部の衛星。画像クリックで表示拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/SSI/CICLOPS/Kevin M. Gill)
新衛星は土星の自転と逆向きに公転する逆行衛星で、大きさは数kmとみられる。衛星の起源は、太陽系の歴史の初期に土星に捕らえられた天体が、他の天体と激しく衝突して生じた破片である可能性が高いと考えられている。
衛星の発見は惑星系の形成や進化に関する手がかりを与えてくれるが、Ashtonさんたちの研究チームによる衛星探しは今回で幕を閉じるかもしれない。「私たちが慎重に計画して実施した複数年の観測から、土星の不規則衛星の進化を理解する手がかりとなる多数の新衛星発見という大当たりがもたらされました。現在のテクノロジーで、これまでに行われた土星や天王星、海王星の衛星探しをはるかに超える観測ができるとは思えません」(Ashtonさん)。
〈参照〉
- Univ. of British Columbia:
- MPEC:
- Research Notes of the AAS:Discovery of 128 new saturnian irregular moons
〈関連リンク〉
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