兵庫の高校生らが小惑星撮影 「はやぶさ2」の探査対象候補

【2012年2月10日 西はりま天文台公園】

兵庫県の高校生らが、21等と暗い小惑星1999 JU3の撮影に成功した。この天体は探査機「はやぶさ」の後継プロジェクト「はやぶさ2」の探査対象の候補となっており、18等まで明るくなる今年初夏にはさらに詳細な観測が行われる予定だ。


西はりま天文台公園より

小惑星1999 JU3

2011年11月26日未明に撮影された小惑星1999 JU3。クリックで拡大(提供:西はりま天文台公園)

兵庫県小惑星研究チーム(HYPAR)に参加する高校生らが、2011年11月26日午前3時頃からの観測で、小惑星探査ミッション「はやぶさ2」の対象候補天体である小惑星1999 JU3を、兵庫県立西はりま天文台公園の「なゆた望遠鏡」を使って観測しました。画像処理の結果、20.7等級と暗い1999 JU3を観測することに成功しました(画像)。

今年は1999 JU3が5月から6月頃に18等級と今後5年間では最も明るくなり、アマチュア天文家の持つ30cmクラスの望遠鏡でも撮影できる可能性があります。また、「はやぶさ2」の打ち上げまでで最も明るくなるので、今年5、6月の科学観測から、1999 JU3の自転軸や自転周期、形状などこれまで以上に詳しいことがわかります。このことは、「はやぶさ2」が1999 JU3に到着した際によりスムーズに探査が行えることにつながります。

「はやぶさ2」とは

「はやぶさ2」は2011年に計画がスタートし、現在探査機製作の準備が始まっています。計画が予定通りに進めば、2014年に打ち上げられ、2018年に1999 JU3へ到着、サンプルを回収し2020年に地球へ持ち帰る計画となっています。

はやぶさ2の探査候補天体(1999 JU3)

1999 JU3の予測形状モデル

光度変化からKaasalainenモデルによって得られた1999 JU3の形状。直径は約870m、自転周期は0.32日と見られる。クリックで拡大(提供:川上恭子さん)

1999 JU3は、1999年5月にリンカーン地球近傍小惑星探査(LINEAR)によって発見された地球近傍小惑星で、次期小惑星探査機「はやぶさ2」の探査候補天体とされています。

「はやぶさ」の探査した小惑星イトカワはS型という分類の小惑星ですが、1999 JU3はより始原的で有機物や水を含んでいるC型という分類に属する小惑星です。太陽系空間にある有機物や水がどのようなものなのか、そして地球上の生命や海の水との関係はどうなっているのか、非常に面白いテーマに挑戦します。

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