軌道も自転軸もふらふらの系外惑星

【2014年2月5日 NASA

季節変動が急激かつ不安定で、Tシャツ短パンと毛皮のコート、どっちの服装をすればよいのかよくわからない惑星に住んだらどうなるだろう。NASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」が、そんな環境にある風変わりな惑星を発見した。


ケプラー413bの軌道を示した図

主星とケプラー413bの軌道(左:真上から見た図、右:真横から見た図)。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, and A. Feild (STScI))

惑星「ケプラー413b」は、はくちょう座の方向約2300光年の距離に位置するスーパー・ネプチューン(海王星より大きく、木星より小さいガス惑星)だ。質量は地球の約65倍で、66日周期で連星の周りを公転している。

この惑星の環境を特殊なものにしているのは、その歳差運動(すりこぎ運動)である。惑星の自転軸の傾きが、11年間に最大で30度も変化するのだ。このふらふらした動きのために、季節が急激にきまぐれに変化する。地球の歳差運動は約2万6000年周期で23.5度の傾きだから、人類の時間的物差しで計ると、ケプラー413bで起こっている現象は驚きの一言につきる。

また、惑星の公転軌道が連星系の軌道から2.5度傾いているために、地球から観測すると惑星の公転軌道も上下にふらついているように見える。こうした軌道のふらつきなどが理由で、ケプラー413bが主星の前を通り過ぎる現象(トランジット)はいつでも見られるというわけではない。

観測主任研究員のVeselin Kostovさんは「探査衛星ケプラーのデータ1500日分のうち、最初の180日間に66日の周期で3回のトランジットが見られました。しかしその後の800日間に、トランジットはまったく起こらなかったのです。さらにその後、続けて5回のトランジットが見られました」と説明している。次のトランジットは、2020年まで起こらないと予測されている。

惑星の複雑な動きを理解するために、自転車の車輪を想像してみよう。車輪を地面に寝かせて回転させるとふらつくが、これが惑星の公転軌道のようなものだ。さらに、その回転している車輪の端に回転するこまを置こう。こまは車輪の上でふらふらするが、こちらが惑星の歳差運動による動きのようなものである。

軌道が傾いている理由はよくわかっていないが、別の惑星や連星系の星の影響かもしれないということだ。

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