地球近傍小惑星2014 JO25をレーダー観測

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19日夜に地球に最接近する小惑星「2014 JO25」がレーダー観測され、2天体がくっついたような不思議な形状や自転の様子がとらえられた。

【2017年4月19日 NASA

4月19日の夜、地球近傍小惑星2014 JO25が地球から約180万km(地球から月までの約4.6倍)の距離を通過する。最接近は19日21時24分(日本時間)ごろで、19日深夜から20日未明にかけて北斗七星の近くを移動していく。明るさは約11等級で観測には天体望遠鏡が必要となるが、空が暗いところであれば移動の様子を見たり撮影したりできるかもしれない。

星図
2014 JO25の動き。20日1時30分ごろにM101銀河に大接近する(ステラナビゲータで星図作成)

小惑星2014 JO25は2014年5月に発見された天体で、これまでの観測では直径が650mほどと見積もられていた。2014 JO25の地球最接近に先立ち、米・カリフォルニア州にあるゴールドストーン深宇宙通信施設の直径70mアンテナでレーダー観測を行ったところ、この天体は2つの塊がくっついたようなピーナッツ状の形をしていることが明らかになった。大きいほうの部分のサイズは約620mと見積もられている。また、約5時間周期で自転していることもわかった。

2014 JO25のレーダー観測の画像から作成された動画。形状や自転の様子がわかる(提供:NASA/JPL-Caltech/GSSR)

小天体が地球に接近すること自体は珍しいものではないが、600mクラスのものが200万km程度まで近づくというのは10年に一度程度しかない。この絶好の機会をいかすべく、ゴールドストーンやプエルトリコのアレシボ望遠鏡をはじめ世界中の施設が小惑星2014 JO25を狙い、小惑星のさらに詳しい形状などをとらえようとしている。

天文ファン視点では、小惑星2014 JO25地球最接近のタイミングで夜間であり、かつ北半球の中緯度付近にあって小惑星の移動を一晩中見られる日本は、最高の観測場所といえる。機材をお持ちの方は天球上の動きや銀河との接近、変光の可能性などの観測に挑戦してみよう。