直径2mの小惑星がアフリカ南部に落下

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6月2日に小惑星2018 LAがアフリカ南部上空で大気圏に突入し、多くの人々に火球が目撃された。軌道計算で地球に衝突することが事前にわかった小惑星としては3例目となる。

【2018年6月5日 NASA JPL

6月2日8時14分(世界時、以下同。日本時間では17時14分)、地球近傍天体を捜索するカタリナ・スカイ・サーベイの望遠鏡で直径数mの小惑星が発見され、「2018 LA」という仮符号が与えられた。観測報告が小惑星センターに送られて暫定軌道が計算された結果、この天体が地球に衝突する可能性があることが判明した。落下地域はアフリカ南部からインド洋をはさんでニューギニアまでの帯状の領域と推定された。

2018 LAの発見時の画像
小惑星2018 LAの発見時の画像。線状に移動しているのが2018 LA(提供:NASA/JPL-Caltech/CSS-Univ. of Arizona)

2018 LAのデータはNASAジェット推進研究所(JPL)の地球近傍天体研究センター(CNEOS)にも送られ、同センターの自動危険評価システム「Scout」でも、地球に衝突する可能性が高いと判定された。これを受けて、小惑星観測者のコミュニティとNASA本部の惑星防衛調整室に警報が通知された(その後、この天体は直径が小さく、被害の恐れがないことが判明したため、NASAからはこれ以降の警報は発令されていない)。

米・ハワイのATLAS小惑星サーベイでも、発見から3時間半後の同日11時49分にこの天体を観測した。この追加観測データから地球に衝突することが確実となり、落下地点はアフリカ南部に絞られた。

2018 LAは軌道予報の通り、発見から8時間半後の同日16時44分ごろに秒速約17kmで地球の大気圏に突入し、高度数kmの上空でばらばらに分解した。この時刻ごろにアフリカ南部のボツワナや南アフリカで明るい火球が多くの人に目撃され、動画に撮影されている。

南アフリカ北西部で撮影された2018 LAの落下(提供:barend swanepoel)

この落下の直後に、核実験を監視する国際プログラムが設置している南アフリカの監視局で、強い低周波が観測された。この観測データは、ボツワナの上空で天体が大気圏に突入したという目撃情報とよく合っている。低周波の大きさから、小惑星の直径は2mと推定されている。

今回の小惑星2018 LAは、地球に衝突する軌道にあることが事前に判明した小惑星としては3例目だ。「地球に衝突する可能性が高いことを落下前に余裕をもって予測できた例としては、まだ2例目にすぎません」(JPL CNEOS所長 Paul Chodasさん)。

小惑星が地球に衝突することが事前にわかった最初の例は、2008年10月7日にスーダン北部に落下した「2008 TC3」だ。この天体は直径約4mとやや大きなサイズで、地球衝突の19時間前に発見されたため、多くの追観測を行うことができ、正確な衝突軌道を計算できた。落下地域からは600個あまりの破片が見つかり、「Almahata Sitta隕石」と命名されている(参照:「衝突天体パトロール、落下目前の小惑星を発見」「衝突前に見つかった小惑星、その後の姿」「地上の小惑星、砂漠で発見」)。

地球衝突を事前に予測できた2個目の天体は小惑星「2014 AA」で、2014年1月1日に発見され、大西洋に落下した(参照:「発見後の小惑星2014 AAが地球に落下し消滅」)。発見から落下まで数時間しかなかったため、追観測はできなかった。カタリナ・スカイ・サーベイはこの3天体すべてで初期観測に成功し、天体が地球衝突軌道にあることを確定するのに貢献している。

「今回の天体は私たちが発見任務を負っている想定天体よりもずっと小さいものでした。しかし、こうした現実の現象があるおかげで、天体発見・通報の能力を訓練することができ、私たちの衝突予測モデルが大きな天体の衝突にも十分対応できるという信頼を築くことができます」(NASA本部・惑星防衛官 Lindley Johnsonさん)。

(文:中野太郎)