衝突前に見つかった小惑星、その後の姿

【2008年11月10日 SETI

小惑星2008 TC3は地球への衝突が初めて事前に予測された天体だが、大気圏突入時のようすを目撃したという確かな報告は今のところない。そんな中、衝突が残した痕の画像が公表され、衝突の全容が解明できるのではないかとの期待が集まっている。


(小惑星2008 TC3が残した永続痕)

小惑星2008 TC3が残したと見られる永続痕。クリックで拡大(提供:Mohamed Elhassan Abdelatif Mahir (Noub NGO), Dr. Muawia H. Shaddad (Univ. Khartoum), Dr. Peter Jenniskens (SETI Institute/NASA Ames))

宇宙から飛来した物質が高層大気の中を通過すると、プラズマ化した大気がしばらく輝き続ける「痕(こん)」と呼ばれる現象がしばしば見られる。ふつう痕は数秒のうちに消えてしまうが、火球と呼ばれる明るい流星の痕には数分間残り続けるものもあり、永続痕と呼ばれる。

右の画像は、米・SETI研究所のPeter Jenniskens氏らが公表したもので、小惑星2008 TC3の大気圏突入に伴う永続痕を撮影した動画の一部とされている。

2008 TC3は世界時10月6日朝に発見された直径3m程度の小惑星で、アフリカのスーダン北部で大気圏に突入することが事前に判明した。気象衛星などの観測から、2008 TC3が計算どおり世界時7日午前2時45分に落下した証拠は集まっていて、今回の出来事が「天体の地球衝突が初めて事前に予測された例」と言えるのは確実である。一方、落下地点付近が人口の少ない地域だったこともあり、地上からの目撃例はまだない。

2008 TC3は落下中にほとんど燃え尽きてしまったと見られるが、隕石が地上に到達した可能性もわずかにある。天体を衝突前と衝突後の両方を調べることができれば画期的なことであり、Jenniskens氏はさらなる目撃証言を集めるために画像を公表したという。

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