すばる望遠鏡の主焦点カメラ「Suprime-Cam」がファイナルライト
【2017年6月19日 すばる望遠鏡】
米・ハワイのマウナケア山頂にある「すばる望遠鏡」に搭載された主焦点カメラ「Suprime-Cam(シュプリーム・カム)」は、1999年にファーストライト(初観測)を行って以来約20年にわたって活躍を続けてきた観測装置だ。広視野という特長やユニークかつ高い性能を活かして、「最遠方銀河」発見の記録を次々に塗り替えるなど数々の成果を挙げてきた。
そのSuprime-Camがハワイ時間2017年5月29日(日本時間5月30日)の夜に最後の観測を終えた。同夜は3つのチームが時間を分け合い、小惑星や銀河、超大質量ブラックホールなどの観測を行った。さらに、日の出直前の時間帯には「ファイナルライト」を祝うセレモニーも行われた。
Suprime-Camの最後の観測天体には、ペガスス座の方向約1億光年彼方にある棒渦巻銀河「NGC 7479」が選ばれた。星生成領域の詳細な構造がくっきりと写し出されている。
この銀河は、Suprime-Camの開発責任者だった岡村定矩さんが1970年代に、銀河の形態研究のために岡山天体物理観測所で観測した天体だ。ここから日本の銀河撮像観測の基礎ができ、岡村さんは後に広視野撮像観測による銀河天文学を推し進めることとなる。その一連の研究活動がSuprime-Camの開発へと繋がっていく。
Suprime-Camで培われた経験や技術は、後継機である超広視野主焦点カメラ「Hyper Suprime-Cam (HSC; ハイパー・シュプリーム・カム) 」に受け継がれている。HSCはSuprime-Camのおよそ7倍もの視野を持ち、満月9個分の範囲を一度に撮影することができる観測装置で、2014年3月から共同利用観測が始まっている。「HSCはすでに様々な分野で画期的な成果を挙げており、現時点では世界最強の広視野カメラです。Suprime-Camに続き、次世代の日本の観測天文学を牽引してくれると期待しています」(岡村さん)。
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