タイタンの新しい地図から見えた地形の特徴
【2018年1月12日 コーネル大学】
2017年9月に土星に突入し、その役目を終えた探査機「カッシーニ」だが、13年にわたる観測による研究成果が続々と出始めている。
米・コーネル大学のPaul Corliesさんたちは、カッシーニの観測データから土星最大の衛星である「タイタン」の新しい地図を作成した。カッシーニの観測ではタイタンの地形の約9%しか高解像度で観測されておらず、25~30%は低解像度だったため、残りの地形はアルゴリズムなどを用いて補間されている。
今回作成された地図から、タイタンには700m以下の山が存在することが新たに確認された。また、赤道領域の2つの地点にあるくぼみは乾燥した海か氷火山流の跡かもしれないことが確認され、タイタンはこれまでに知られていたよりも少し平らなことも明らかとなった。
一方、同大学のAlex Hayesさんたちは同じ地図からタイタンに地球と似たような地形があることを発見した。タイタンには3つの海があるが、地球の海のように海面の高さは同じだという。また、満ちている湖と乾燥している湖の海抜を測定したところ、湖は海面より数百m高いところにあり、乾燥している湖は満ちている湖よりも高い位置にあることがわかった。これらのことから、タイタンの湖は地下を通ってそれぞれつながっていると考えられる。
しかし、新たな謎も生まれた。タイタンの湖の大部分には鋭利なくぼみがあり、数百mも高く隆起した縁で囲まれている。タイタンの湖には液体が流出入する経路はなく、地球にあるカルストのようにも見えるが、地球のカルストには鋭く隆起した縁はない。
「私たちは太陽から15億km離れたタイタンの海や湖の表面の海抜を、約40cmという驚異的な精度で測定しています。タイタンの海は地球の海と同じように、重力と自転の影響のみを受けた海面の形状をしています。そして、湖は地下でつながっており、液体炭化水素が貯まっているとみられます。新たな謎となった湖の縁がどのように形成されたのかを理解することは、タイタンの極にある盆地の進化を理解する鍵となるでしょう」(Hayesさん)。
〈参照〉
- Cornell Chronicle:Saturn's moon Titan sports Earth-like features
- Geophysical Research Letters:論文
〈関連リンク〉
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