1965 秋
天文ブームの火付け役
池谷・関彗星(1965 S1)
1965年秋、静岡県の池谷薫さんと高知県の関勉さんの二人が発見したクロイツ群の大彗星。10月21日の近日点通過時には、白昼、小望遠鏡でも太陽のすぐそばを動いていく姿が見えた。その後、夜明け前の東の空に長大な尾を引いて現われ、当時の若い天文ファンたちを熱狂させ、以後、多数の日本人コメットハンターたちが活躍する原動力となった。頭部の明るさは4等級で、尾もからす座からコップ座に伸びるくらいものだったが、当時の夜空は暗く澄み、肉眼でもその勇姿が感動的だった。カラーフィルムの感度はまだASA(ISO)50、当時の彗星撮影はモノクロASA(ISO)400のトライXによる固定撮影が主流で、天体写真ブームのきっかけにもなった。