冷却CCDカメラで系外惑星を観測しよう
トランジット法に必要な機材は、8〜10等星の測光観測が可能な望遠鏡、そして冷却CCDカメラである。できれば写野は最低30分角はほしい。というのも、ターゲットとする星と同等か、それ以上の明るい比較星を必要とするからだ。
観測そのものは実に簡単である。ターゲットと(できれば複数の)比較星が視野に収まる構図を定めたら、ひたすらに撮像を繰り返す。露出時間は機材にもよるが、恒星面通過が数時間以上の現象であるから、1分以下の短い露出である必要はない。せいぜい1分から数分の露出をひたすらに繰り返すだけである。フィルターは必要ないので、CCDが飽和したりするほうが心配となるかもしれない。いずれにしろ、データはかなり大量に溜まるので、大容量のハードディスクは必要だろう(通常のCCD観測と同様に、ダーク、フラットなどのデータもしっかりと取っておく必要があるが、これらはすでに他所に詳細な説明があるのでここでは述べない)。
得られたデータについて、ステライメージなどの市販ソフトにより、一次処理を行い、画像上でターゲットの星と、比較星との明るさの差を算出していく。恒星面通過があれば、その差が時間変化するはずだ。CCDで変光星や小惑星の測光観測を行ったことがあれば、誰にでもすぐに始められるだろう。
天体望遠鏡と冷却CCDカメラがあれば観測を始められる。フィルターは使用しなくてもよいが、測光観測の用途にはモノクロCCDの機種のほうが適している。 参考→ 星ナビ 冷却CCDカメラカタログ |
主なカメラと画角 一覧表 |
興味ある方は、まずはデータがよくわかっているHD209458の追試にチャレンジしてみてほしい。恒星面通過の予報時刻は、ほぼ正確に(±5分ほど差があるが)わかっている。かなり先端的な教育普及実習のテーマとしても最適だろう。
補足:ステライメージ4には測光観測のための「光度測定」という機能がある。露出時間を入力し、画像上で測光したい天体と標準星を選べば、バックグラウンドの明るさを差し引いて天体の光度を算出してくれる。測定結果はテキストで出力できる。