2000年はうるう年

【1999年3月25日 国立天文台天文ニュース(246)】

最近、国立天文台に、「2000年はうるう年か」という質問が頻繁に寄せられます。 結論を先にいいますと、2000年は間違いなく「うるう年」です。 しかし、そのことに疑念をもっている方が多いようなので、その根拠について述べておきます。

現在のグレゴリオ暦では、うるう年の決め方は以下の規則によっています。

  1. 西暦年数が4で割り切れる年は原則として「うるう年」にする。
  2. 上記の例外として、西暦年数が100で割り切れる年は「平年」とする。
  3. さらに例外として、西暦年数が400で割り切れる年は「うるう年」にする。

この規則によりますと、2000年は400で割り切れますから「うるう年」になります。 一方1900年、2100年、2200年などは平年になります。

この規則に従いますと、400年間に97回の「うるう年」が置かれることになり、1年の平均日数が365.2425日となります。 これは1太陽年の長さ365.2422日と、厳密に同じではありませんが、非常に近い長さなので、当分このまま使用して差し支えないと考えられています。

日本において「うるう年」をどのように置くかを決める法律的根拠は、明治31年5月10日に公布された勅令第90号です。 その内容はつぎのようになっています。

「神武天皇即位紀元年数ノ四ヲ以テ整除シ得ヘキ年ヲ閏年トス但シ紀元年数ヨリ六百六十ヲ減シテ百ヲ以テ整除シ得ヘキモノノ中更ニ四ヲ以テ其ノ商ヲ整除シ得サル年ハ平年トス」

これは、明治5年に公布された太陽暦への改暦の詔書の内容が不十分であったため、1900年(明治33年)を平年とするために後から付け足した形のものです。 神武天皇即位紀元などという大仰な言葉が出てきますが、神武天皇即位紀元は西暦年数に660を加えると得られますから、上記の勅令は、実質的に、はじめに挙げた規則と同じであることがおわかりになるでしょう。 2000年は神武天皇即位紀元2660年に当たりますから、ここからも、来年が「うるう年」であることが確認できます。 現在ほとんど使われることのない年数の数え方ですが、法律的には、こんなところに「神武天皇即位紀元」が生きているのです。

日本で西暦を日常的に使用するようになったのは第二次大戦以後のことで、明治から昭和20年までは、この神武天皇即位紀元(皇紀)がよく使用されました。 年配の方なら、昭和15年(1940年)を、皇紀2600年として、日本が国を挙げて祝ったことを記憶されていることでしょう。