H-II8号機の打ち上げがライブで見られる

【1999年9月6日】

宇宙関連の映画にかならず出てくるロケット打ち上げシーン・・・。打ち上げ前の緊迫感、カウントダウンの声、ノズルからの噴射、轟音、噴煙中から頭をもたげる機体、そして天に消え行く光点、などなど。何度見ても打ち上げシーンは心に迫り来るものがある。

そんなロケット打ち上げの興奮が存分に味わえる、宇宙開発事業団H-IIロケット8号機の打ち上げが、いよいよ4日後に迫った。今回の打ち上げは、インターネットによってライブ中継されるので注目だ。

H-IIロケット8号機打ち上げ予定

打ち上げ予定日

1999年9月10日

打ち上げ時間帯

16:42〜17:37

打ち上げ場所

種子島宇宙センター

打ち上げ衛星

運輸多目的衛星 MTSAT

ライブサイト

打上げ速報 H-II8号機(NASDA)

今回H-IIロケットで打ち上げられるのは運輸多目的衛星MTSAT。気象衛星「ひまわり5号」の後継機だ。この後継機は気象衛星の機能以外にも航空管制の機能も併せ持つため、気象衛星ではなく運輸多目的衛星と呼ばれる。これにあわせて衛星の愛称も変更となり、1977年より親しまれてきた気象衛星「ひまわり」の名は残念ながら5号で消えゆくことになる。
 気象衛星の機能としては、赤外領域に1チャンネル(バンド)が追加され、可視1チャンネル・赤外4チャンネル体制となった。この赤外1チャンネルの追加(3.5-4.0μm)により、夜間の霧の判別精度や海面温度の測定精度が向上する。また、これまでにくらべて水平解像度が可視1km・赤外4km(赤道直下)に上がり、階調度数も1024階調に上がっている。これにより、雲などをより細かく精度よく捉えることができるようになるはずだ。(MTSATは2000年2月より運用開始予定)

さて、今回のライブ中継は RealPlayer にて中継される。8月11日のヨーロッパ−西アジア日食中継の時の教訓から、打ち上げ直前には混雑が予想されるので、なるべく早い時間に接続してしまうことオススメしたい。打ち上げの約1時間前から中継ははじまる予定だ。 日食の際にはアクセスしても、大混雑でなかなか RealPlayer での接続ができなかった。しかし、一度つながってしまえばあとはスムーズに流れるようなので、とにかく早めに回線を確保しておいた方がよいようである。

天文ファンのなかでも、ロケットの打ち上げを生で見たことのある人は少ないのではないだろうか? 例によって見られるのはコマ送りの映像だが、打ち上げをリアルタイムで体験する感激に浸れることまちがいなしだ。

MTSATには打ち上げ後に新しい愛称が発表される。運輸省の WebPage にて募集されてきた、「ひまわり」に変わる新愛称にも注目したい。

なお、スカイウオッチャーでもロケット開発・打ち上げに関しては、各種の記事を掲載してきた。バックナンバーをお持ちの方は、それらにもう1度目を通して打ち上げを見れば感慨もひとしおだろう。

ロケット関係のスカイウオッチャー・バックナンバー (1993年以降)

94年4月号 天衣無縫 「HIIロケット打ち上げ成功」
95年3月号 純国産HIIロケットを創り出した技術者たち 「カウント・ゼロ」
   11月号 LIFT OFF 「日本の宇宙科学ロケット40年の飛翔」
96年1月号 日本の科学ロケット40年 「宇宙への切符」 ― ロケット開発に賭けた男たちの群像 ―
98年3月号 土井隆雄さん宇宙へ 「LIFT OFF COLUMBIA!!」
   7月号 火星探査機プラネットBに積まれる27万人のネームプレート 「火星に届け」
   9月号 日本発の火星探査機「のぞみ」発つ 「Fly me to Mars」
99年5月号 今月の星たち 「あなたのアイデアとともに? 2000年宇宙へ飛び立つH-IIロケット」

日本の宇宙ロケットの研究・開発・打ち上げは宇宙開発事業団と宇宙科学研究所の2系統があるが、上表はロケット関連としてまとめて掲載した。

参考: 打上げ速報 H-II8号機宇宙開発事業団
  運輸多目的衛星(MTSAT)愛称募集運輸省